手荒れ| 大田区大森の大木皮膚科【治りにくい手湿疹でお困りなら】
目次
手荒れ治療・手湿疹専門外来
かゆみ・水疱・酷い手湿疹対応!
《お近くの病院でも治らない手荒れはJR大森駅の大木皮膚科までご相談ください》
皮膚科に通っても、手荒れがなかなか治らない・・・酷い手湿疹はどうしたら治るの?・・手荒れはひび割れや水泡形成・皮が剥けてしまい、市販のクリームや近くの病院に通っても治らないという方が多いですよね。
ステロイド外用を塗ると多少良くなっても、すぐに悪くなってしまうというケースがよく見られます。その原因とは?
◆他院で治療を行って治らない方は、必ずお薬手帳もしくは使っていたお薬の控えをお持ちください。
◆治療の参考としますので、問診票に仕事で手を使うか・ご職業など差し支えない範囲でご記入下さい。(例;主婦、水仕事、事務作業、紙を使う、美容師、販売など)
ー当院からのお願いー
手荒れの経過が長引く場合には、内因性の金属アレルギーなどの根本原因の対策ができていない場合もあります。担当医師が必要と判断した場合には、「当院近隣の大学病院等」へご紹介となる場合がございますので、ご了承の上で受診されるようにお願い申し上げます。
手荒れとは?
手荒れとは、皮膚が敏感な方・アトピー体質などの方にできやすく、一端悪化してしまうとなかなか治らない方多い疾患です。適切な外用剤+保湿ケアと伴に、刺激となる原因を避ける工夫が治療上必須となります。
手荒れには以下の3つの原因が重なり治らないと考えられます
1,外的刺激による皮脂減少
手の皮膚表面には皮脂膜という保護膜がありますが、水仕事など、お湯や洗剤をよく使ったり、パソコンや紙、お札などの繰り返す刺激により皮脂が過剰に取れてしまうことがきっかけとなります。
別名、主婦湿疹とも云われ特に主婦、飲食店員、美容師、事務職員、作業員の方など手を使う人に出来やすい傾向にあります。
2,皮膚バリア機能の低下による様々な湿疹変化(かぶれ)
元来、手の平の皮膚は厚い角質層(20-30層以上)を持ち、基本的には外力に対して丈夫に出来ています。一方、手は汗腺が多く汗はたくさん出ますが、毛穴がなく皮脂はあまり出ません。そのため一度乾燥するとなかなか皮脂が回復せず、刺激を受けやすい状態になり様々なかぶれや湿疹変化が見られるようになります。
3,手荒れになりやすい体質・素因
同じように仕事をしていても手荒れになりやすい方、なりにくい方がいらっしゃいます。刺激に敏感な体質(バリア機能が弱い)、アトピー性皮膚炎などの敏感肌の方にできる傾向にあります。一般的に冬に悪くなり、夏にはよくなる方が多いです。
※ときどき、ご質問がありますが全員にできるわけではないので通常は労災扱いとならないようです。
症状・治療のポイント
手荒れの初期には、おもに利き手から症状が現れ、親指、人差し指、中指などの指先から始まり、「小水疱、びらん、カサカサ(落屑)、皮膚が硬くなる(角化)、ひび割れ」などが起こります。
慢性化して皮疹が悪化してくると、皮膚がざらついたり(苔癬化)、ジクジクと浸軟したりして単純にステロイド外用塗布だけでははく【重層療法】(ステロイド外用+亜鉛華軟膏の重ね塗り)が有効です。
一方、弱い刺激が繰り返し加わると、表皮の角質細胞が弱り角化出来ない状態となり、次第に皮膚が薄く(菲薄化)なり指紋がなくなるなどの症状がでてきます。その場合は慢性的な刺激が主な原因ですので、刺激をなるべく避けるように心掛け保湿剤(プロぺト+亜鉛華など)を1日5-6回以上頻回に使って常に皮膚を保護しておくこと、特に悪い部分にはガーゼをまき、綿手袋or綿ネットで覆っておくなども良いでしょう。
ステロイドのランクは少し落とした方が皮膚の回復が良い印象です。実際には上記の2つが混在しているパターンの方が多いです。具体的に皮膚の状態を拝見してお薬の塗り方をお話するようにしています。
手湿疹は、手を使っていると悪化しますが、手を休ませると良くなるという性質があります。理想論となりますが軟膏を塗り、ガーゼで保護した上で綿手などでガードして何もしないこと、が一番良いのですが日常生活を送りながら、なかなそう言う訳にもいきません。
そのため、如何に外的刺激を回避(or 中止)していくかを患者さん自身が工夫することが何よりも大切となります。
※手荒れがなかなか治らない場合は手白癬もしくはカンジダ症の合併も散見されますので、ご注意下さいますようお願いします。
使われるお薬ってなにがあるの?
外用剤による治療
ステロイド外用剤(副腎皮質ホルモン剤)
現時点において手荒れによる湿疹の炎症を十分に鎮静化し、有効性と安全性が科学的に立証されているのはステロイド外用剤のみです。皮疹の重症度に見合った適正なランクのものを使用することで皮疹をすみやかに消退させる、とても有効なお薬であると言えます。
注意することは、ステロイド外用剤は手荒れを治す(完治させる)お薬ではないということです。あくまで炎症を抑えていくために必要な対症療法として用いられると考えるべきでしょう。
大切なことは適切なスキンケア・保湿と刺激からの防御対策を行っていくことで、ステロイド外用剤のみに頼った治療を行わないことです。
ステロイドの副作用とは? アレルギーを抑える代わりに免疫や細胞の成長なども抑制されます。長期の使用によって皮膚菲薄化、毛細血管拡張などが出ます。教科書を見ると手は厚い角質層を持つためstrongest(最高ランク)のものまで使っても大丈夫との記載が見られますが、繰り返す刺激による指紋が薄くなるパターンの方に強いステロイドを塗るとますます皮膚が薄くなってしまうのも問題点です。手あれに使用するステロイドは長期的にはstrong~mild(3~4番目の強さ)のものを選択するほうが良いのではと考えます。 |
※慢性化した湿疹の治し方・ステロイド外用の重層法の動画をアップしました。当院で良く行う外用療法のご指導ですので、下の”手荒れの保湿;プロペトの使い方”とともに受診前に一度ご覧下さいますようお願い申し上げます。
保湿剤
手荒れで弱った皮膚は、表皮角質層に小さな傷が沢山ある状態です。保湿の基本はワセリン基剤(プロペトなど)・亜鉛華軟膏で、肌の状態が回復するに従ってヘパリン類似物質(ヒルドイド、ビーソフテン)や尿素軟膏(パスタロン、ウレパール)、サリチル酸ワセリンなども併用します。
手あれの患者さんでは、皮膚の角質バリア機能が通常の方より低くなっているため、1日にこまめに何回もしっかり保湿を行っていくことが治療の基本です。
※保湿剤(プロペト)の塗り方を動画にしました!処方されたプロペトを使って実際にためしてみましょう。かなり、しっとりする割に、しっかり塗り伸ばすと意外にさらっとしますよ。
内服薬等よる治療
抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤
抗アレルギー剤には、今ある痒みを止める作用と、飲み続けることで痒みを出にくくする作用も期待されます。痒みが強く、つい引っ掻いてしまう・夜中にかきむしっているなどある場合には、痒みを押さえるために内服薬も使った方が良いと思います。
手荒れの治療においても皮疹を改善させるのは、あくまで外用療法が基本となります。
※痒みの程度とねむけの出やすさによりお薬を選択することができます。
漢方治療
通常のステロイド外用、保湿のみで改善がみられない方でも、漢方薬で改善の見られることもあります。漢方治療では症状や体質に応じて、血の巡りを整えたり、冷えを改善する方薬が使われることが多いです。
治療や日常生活の注意点はなんでしょうか?
手荒れの治療上の具体的な注意点とは?
ほとんどの方が手荒れになりやすい体質(アトピーなど)を持っており、何をしても大丈夫という所まで良くすることはなかなか困難です。手を使わなければ良くなるのですが、現状の仕事や家事をいきなり止めるわけにもいきません。
ステロイド外用は酷い皮疹にはある程度必要ですがあくまで対症療法であり、手荒れを治すには、まずは刺激を避けること(綿手袋を使う・洗剤、シャンプー等は敏感肌用)、保湿を1日に何回も使って手を保護しながら適宜ステロイド外用も使っていくことが肝要と思われます。
※手荒れの治療に何も特別なことはありません。なぜ手荒れが出来るのかを患者さん自身がご理解いただき、出来る対策をひとつずつ工夫し行っていくことが王道だと考えます。下記の事項は全ての方に当てはまるわけではありませんが、ご自分の生活にあてはめてどのような対策をしたら良いか、のヒントとしていただけましたら幸いです。 |
1,刺激からの回避、防御対策
・まず、水(特にお湯)を使いすぎないことが大切です。
(人の皮脂はお湯に容易に溶けだしてしまい乾燥を助長します。)
・洗剤、シャンプー、消毒、ほこり、アルコール等の刺激を避けましょう。
・なるべく仕事で必要なとき以外は綿手袋を常にして保護を続ける。
(綿100%生地の方が肌の組成に近く刺激が少ないので綿のものを選ぶ)
・水仕事のときは、ゴム手袋or 使い捨て手袋の下に薄手の綿手袋をする。
(ゴム、ポリエチレンなどを直接肌に触れると”かぶれ”の可能性がある。)
⇒正直、面倒とは思いますが地道な保護の積み重ねが大切です・・・
2,保湿剤をメインとしてしっかり使う
・ワセリン(プロペト)、尿素軟膏、ヒルドイド軟膏、亜鉛華軟膏などがあるが、乾燥してひび割れるなど症状が強い時はプロペト(+亜鉛華軟膏)がお勧めです。
(ひび割れ=手の皮膚が傷だらけの状態では、軟膏基剤のお薬を塗る方が傷を治すのに合理的です。怪我をして擦り傷が出来たときに何を塗りますか?)
・保湿剤はこまめに1日に5-6回以上塗るのが効果的です。手洗いや水仕事の度に塗布する方が良いでしょう。
・水仕事の前・後にもよく擦り込んでおくことで、皮膚に保護膜を作り刺激からの防御となります。
※べとつく場合は5分くらい置き馴染んだら、ティシュなどで余分な軟膏をふき取ると良いでしょう。
3,外用剤等による治療
・ジクジクしている場合は日常生活にも支障をきたすので、炎症やかゆみの程度にあわせてステロイド外用、亜鉛華軟膏の重ね塗り(重層法)、抗アレルギー薬の内服なども行います。ひび割れに対してテープ剤も使われます。
・指先などの皮膚が薄くなっている方ではステロイドのランクを下げた方が肌の自然な回復を妨げないと思います。
・夜寝る前には保湿をしっかり行い症状の強いところにはガーゼ、綿手袋等を使用して、1日1回は手の皮膚をしっかり休ませることが大切です。
4,手荒れは油断大敵
・どのような時に痒みが出るのか観察し、刺激を避けるなど工夫もしましょう。
・湿疹は痒みが取れても、ザラザラ、かさつきが残る場合は皮膚に様々な炎症細胞が残ってます。ステロイド外用も適宜使用しつつ、刺激の回避、保湿をしっかり続けることが大切です。
・皮膚の状態が改善し常に綿手をしておく必要がなくなり、保湿をこまめに行っておくことで良い状態をキープしておくことが治療目標となります。
―手あれもアトピー性皮膚炎と同様、慢性に経過する皮膚疾患のひとつです―
⇒出来れば月に1回程度は通院していただき、皮膚の状態を担当の先生にチェックしてもらいましょう。
―担当医からコメント― 上記の内容をご理解いただき、ご自分の日常生活に合わせた工夫をしっかり実行出来る方は、長年続く手あれも徐々に改善していくことが多い印象です。 |
※手荒れがガサガサのとき、保湿の基本は白色ワセリンです。皮膚が少し改善してきた場合は市販のハンドクリームを用いても、ご自分に合ったものであれば構わないと思います。市販品は値段は高い反面、セラミドなど医薬品では使えない成分が入った良質のものもあります。(キュレル、ロコベースなどおすすめです)
※参考資料;手湿疹診療ガイドライン(日本皮膚科学会)