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皮膚科ブログ記事|大田区大森の大木皮膚科

新型コロナ感染・換気対策|時間換気量「30m3」基準につき詳しく解説

クリニック・病院・店舗における新型コロナ換気対策は?

 新型コロナ感染症が未だ、収束しない中で「3密の回避」がとても重要です。なかでも「密閉空間」を改善するための換気対策は、厚生労働省から「換気についての単独のリーフレット」も出されており、「3密」の中でも一番大切であることに異論はないものと思われます。

『出典:首相官邸HPより一部抜粋』

 一方で、コロナ感染症が蔓延するなかでも、様々な感染リスクに注意をしつつも生活のために、日常の買い物などには外出せざるを得ません。気になってしまうのは、「感染対策しています!」的なポスターは貼ってあっても一体どのくらい「きちんと」した換気対策をしているか書いてある施設はあまりみかけません。

 飲食店やデパートも「新型コロナ感染症」がひろまって1年以上経過するのに「本当に基準を満たした有効な換気対策をおこなってきたのか?」と疑問を感じているのは当方だけでしょうか?令和3年春以降、大阪で新型コロナウイルスの変異株が広まり東京都内でも蔓延している現在、今一度「基本に立ち帰った換気対策」をみなおすべき時期かと思います。

『きちんと空気の入れ換えにつき書いてある施設がない?!』

 

 なお、著者は医療の専門家ではありますが換気や建物の専門家ではありません。一方、今から考えると幸いなことにも、令和2年4月の第1回緊急事態宣言の真っ直中に、現在の新テナントの契約が決まったおかげで、
「移転先テナントの換気対策」に対して真剣に考える機会を得ました。
②さらに実際にスケルトンの状態から工務店の方と相談しながら換気対策をゼロから行いました。

 この貴重な経験を元に、クリニック・店舗等で行うべき新型コロナ感染の換気対策について詳しく考えていきます。

 ※以下、厚労省のリーフレットをメインに「公表されている参考資料の原文」も読んで、その意味を詳しく読み解いて行きます。 

新型コロナ感染に対する換気の基準を詳しくみていくと・・・

 換気対策について国は、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解(令和2年3月9日及び3月19日公表)として、リスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するため、具体的な方法をリーフレットにて明示しています。

令和2年春の「換気の悪い密閉空間を改善するためのリーフレット」

厚生労働省は令和2年4月3日に指針を出している

※リーフレットPDFおよび参考資料は下記のリンクからご確認ください。

商業施設等の管理権限者の皆さまへ

※注意点としては、対象となる管理者が季節毎に多少変更となっています。なお「管理権限者」とは消防法上の用語となりますが、防火・防災管理者講習を受けた方には馴染みのある用語ですね。通常「建物の管理行為を法律・契約または慣習上当然行うべきもの」となり、建物の所有者・管理者だけでなくテナントを経営する貸借人にも管理する必要があることに留意が必要です。

 

「換気の悪い密閉空間」を改善するための方法をよく読みこむと・・

※以下はリーフレットの文面を抜粋しながら、『その元となる参考資料』をまとめていきます。

1 はじめに(参考資料から抜粋・追記)

(1) 新型コロナ感染症対策専門家会議の見解によると、日本国内で新型コロナ感染流行初期に集団感染を起こした「屋形船」、「ライブハウス」、「スポーツジム」の発生状況を検討したところ共通するのは、①換気の悪い密閉空間、②多くの人が密集していた、③近距離 (互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声が行われたという3つの条件が同時に重なった場合でした。

(2) この見解を踏まえ、リスク要因の一つである「換気の悪い密閉空間」を改善するための方法について多数の人が利用する商業施設等においてどのような 換気等の措置を行えば良いのかにつき、有識者の意見を聞き、文献、国際基準、国内法令などを考察し、その結果を以下の通りまとめました。

⇒なぜ、換気対策だけが独立したリーフレットになったのでしょうか?それは換気が一番大切だからですね。

※いわゆる3密の回避が必要である旨の文面です。
 もちろん、「密集場所」とならない対策・「密接場面」とならないことも大切ですが、特に「密閉空間」とならないための換気対策は、事務所・店舗・クリニックなどの管理者にしかできない重要な対策になります。

★感染リスク回避のポイント★
  • 密集場所にならない為には、
    ①距離をとる=ソーシャルディスタンス等
    ②店舗等の換気量に応じた人数制限
  • 密接場面とならない為に、
    ①マスクを着用する
    ②長時間(15分以上)の大声での会話を避ける
  • 密閉空間とならない為には、
    ①空気の入れ換えを励行する
    ②窓をあけるなど

 上記は、主に「飛沫感染」「空気感染」に対する対策となり、それ以外の「接触感染対策」として、
①手を洗う・アルコール消毒する、
②目を触らない、
③環境・物品などの消毒を行うこと
 も大切なことは、云うまでもありません。

 ここで注意すべきことは、「管理権限者」テナント・事務所等の毎時換気量を把握していない「人の密度を下げる」ことができなくなってしまうことです。②③の「密集」「密接」に対してはテナントを利用する皆様にもご協力をお願いしないと達成できませんが、①の「換気対策」についてと②の「人の密度の管理」に関しては「テナント・建物の管理者」でなくては出来ない重要な新型コロナ感染対策となっています。

 

新型コロナ感染対策の換気基準・目安について

★重要★「換気の悪い密閉空間」を改善するための方法の大原則は?

 ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m³)を満たすことになり、「換気の悪い密閉空間」には当てはまらない。このため、以下のいずれかの措置を講ずることを商業施設等の管理権限者に推奨いたします。

①このため=この目標を達成するために、②管理権限者=主として事業主、③推奨する=強制力はない

 

 専門家会議の内容を厚生労働省の担当者の方がまとめた対策ですが、リーフレットにしたときに表現がやや曖昧になってしまっている点に注意が必要です。

  1. 「換気の悪い密閉空間に当てはまらない」とされたのは必要換気量(一人当たり毎時30m)を満たすことが基本であること。
  2. 「このため」という表現が、文脈より「この為に」「この目標を達成するために」という意味で使われていること。
  3. 「いずれかの」という表現が、専門家会議をまとめた原文を詳しく読むと「いずれか=2つの選択肢から1つを選らぶ」だけのものでなく、「窓開けと機械換気」を併用しても良いということ。
  4. 窓開けによる場合でも、適切な換気(一人あたり毎時 30m3)を行う必要があること。

(※厚生労働省に電話確認済;R3.5.22)

 以上となります。テナント・建物のオーナー(事業主)の方は、単にリーフレットを読んで「なるべく安易な方な対策」のみ行うのではなく、本当に有効とされている換気対策の基準を把握して、「勤めているスタッフの安全」のみでなく「来店いただけるお客さんの安全・安心」も考えて行く必要があります。

※なお、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず、一人あたりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるということまで文献等で明らかになっているわけではないとしています。

 

 まずは、参考資料で「なぜ、換気の基準が一人あたり毎時30mとされたのかの根拠を見ていきます。ここから以下の文面はやや難解なのですが、大変重要ですので繰り返し良くお読みください。

なぜ、一人あたり必要換気量が30m3とされたのか?

※参考資料の原文は、もっと長く難解なのですが以下に要点をまとめてみます。

2 建築物内の換気による感染症予防の効果に関する文献(参考資料より抜粋)

(1) 米国保健工学会(ASHE)は、はしか、結核, 水疱瘡、インフルエンザ、SARS といった感染症の伝染・拡散と換気との間に関連がある一方で、病院、 学校、事務所等における必要最小換気量の研究は十分でないとしている。
(2) 国際保健機関(WHO)は、換気基準の根拠として、「結核とはしかの拡散」「換気回数が毎時 2 回未満の診察室」の間に関連が見られたとしている。
(3) 換気回数に関する国内の文献では、中学校での結核集団感染において、教室の換気回数 が毎時 1.6~1.8 回と少なかった。また、気積が 20m3 /時を下回ると感染 のリスクが高まった。
(4)新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した施設について、換気回数が報告されている文献は少ないが、広州のレストランの調査では、店内の換気回数は毎時 0.56-0.77 回と極端に少なかったと報告している。

 

3 CDC、WHO の隔離施設等の換気の基準(参考資料より抜粋)

(1) 米国疾病予防管理センター(CDC)は、感染症患者を隔離する医療施設の換気基準として、換気回数が新規の建物で毎時12 回既存の建物で毎時6回を上回ることを示しました。
(2) WHOは、飛沫による感染症を扱う保健施設における自然換気の基準を示して、新築隔離施設における換気風量が、1患者あたり 160 リットル毎秒最小80 リットル毎秒(288m3 毎時))としました。この数字の根拠として、CDC の基準である毎時 12 回の換気回数が、4×2×3m3 の部屋において1患者あたり 80 リットル毎秒と同等であるため、自然換気のための安全率としてそれを2倍して1患者あたり 160 リットル毎秒(576m3 毎時)としています。

※一見分かりにくいですが、①換気回数が毎時 2 回未満」感染症伝染リスクが高い、②「感染症を扱う隔離施設部屋」に於いて、毎時一人あたり必要換気量288m3と云っているわけです。

 

ビル管理法における空気環境調整に関する基準は?

※令和2年春は上記ですが、夏の熱中症予防版では下記の基準に適合するように、①外気取り入れ量等を調整②必要換気量 (一人あたり毎時30m3)を確保③居室の温度・湿度を維持、に集約されました。

熱中症予防版より

ビル管理法における空気調和設備を設けている場合の空気環境の基準(抜粋)
  • 二酸化炭素の含有率; 100万分の1000以下(=1000 ppm以下
  • 温度;①  17℃以上28℃以下 、 ②居室における温度を外気の温度より著しく低くしない。
  • 相対湿度40%以上70%以下
 
4 ビル管理法の基準(参考資料より抜粋)

(1) 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)では換気回数ではなく、室内の一酸化炭素濃度や、二酸化炭素濃度(1000ppm)の基準を設定し、適切な換気量を確保することを求めています。
(2) この基準を実現するため、空気調和・衛生工学規格では、人体から発生する二酸化炭素に基づき1人あたりの必要換気量を約 30m3毎時とし、居室の在室密度に応じ、必要換気量を示しています
(3)一人あたり毎時 30m3の換気量は、標準的な商店売り場(一人あたり占有面積 3.3m2)と標準的なオフィス(一人あたり占有面積 5m2 )において(空気調和・衛生工学会)、それぞれ毎時 3.2 回と毎時 2.1 回の換気回数に相当します。
(≒オフィスであれば換気回数2回以上、商店売り場では3回以上が必要です!)

 

居室の在室密度に応じた必要換気量の参考値


※必要換気回数は、商業施設の種類によって変わることに注意してください!!

 一人あたり毎時 30m3の換気量を、標準的な商店売り場(一人あたり占有面積 3.3m2)で毎時 3.2 回とした場合と同等の比率で計算すると下記のようになります。
※映画館、劇場では天井高が大きく計算条件が変わるかもしれません。

  • ホテル客室;専有面積10m換気回数1.05回
  • 事務所(個室);専有面積5m換気回数2.1回
  • 事務所一般;専有面積4.2m換気回数2.5回
  • 標準的商店;専有面積3.3m換気回数3.2回
  • 高級飲食店;専有面積1.7m換気回数6.1回
  • デパート売場;専有面積1.5m換気回数7回
  • 一般飲食店デパート食品売り場;専有面積1m換気回数10.5回
  • 劇場、映画館;専有面積0.6m換気回数17回
  • デパート特売場;専有面積0.5m換気回数21回

★商業施設の条件によって必要換気回数に1~20回越えとかなりの開きがあることに注意をしてください。

(4) ビル管理法では、相対湿度についても基準(40%~70%)があります。冬季の低湿度状態は、気道粘膜を乾燥させ気道の細菌感染予防作用を弱めるとともに、インフルエンザウイルスの生存時間を延長し、罹患しやすい状況から、湿度下限値を40%としたものです。
(5) 換気量は外気導入用のファンの能力に依存(※注釈参照)し、外気導入用のファンの能力に余裕があれば、外気導入量をある程度増加できる可能性があるとしています。

※注釈として大型商業施設は、第1種換気のため外気導入ファン能力に依存します。
※クリーンルーム・手術室などでは第2種換気となるため、外気導入用ファンのみとなる。
一般商業施設・住宅では、第3種換気となることが多く排気用ファンの能力に依存となります。

※パナソニックホームページより引用

 

換気回数2回⇒一人あたり必要換気量30m3以上となってしまった考察は?

※では、せっかく「居室の在室密度に応じた必要換気量」の提示まであったのに、なぜ故に「換気回数2回」=「一人あたり必要換気量30m3以上」となってしまったのでしょうか?以下のリーフレットの元となる主たる考察を読んでいきます。

 

6 考察(参考資料より抜粋)

(1) 専門家会議の見解における「換気の悪い密閉空間」とは、一般的な建築物の空気環境の基準を満たしていないことを指します。その意味では、ビル管理法の基準に適合させるための換気量(一人あたり必要換気量約 30m3 毎時)を満たせば、「換気の悪い密閉空間」には当てはまりません。
(2) 一方で、CDC・WHO による呼吸機感染症患者の隔離施設基準の根拠とされる文献において、換気回数2回毎時未満の施設それ以上の換気能力を有する施設を比較した研究であることから、隔離施設の基準(換気回数が毎時 12 回(新規建物)、毎時 6 回(既存建物)は、それぞれ、換気回数2回に比べて6倍、3倍の安全率を有している。したがって、一般商業施設等に適用する場合の安全率としては、厳しすぎるといえる。
(3) 仮に、換気回数を毎時 2 回とした場合一人あたり換気量は 48m3 毎時であり、ビル管理法の基準(一人あたり必要換気量約 30m3 毎時)の約 1.5 倍となり、それほど大きな違いはない。

★隔離施設4×2×3m3 の部屋(一人あたり8m2⇒容積24mで換気回数2回一人あたり48m3と計算していることに注意!
⇒一般的な事務所(個室)よりやや大きな部屋が基準で考えられていることに注意してください!!

隔離施設の個室にいる患者に対して一人あたり換気量288m3毎時(ビル管理法の9.6倍)とされているものを、そのまま一般商業施設等に適用するには厳しすぎます。

★★一方、隔離施設部屋を例として「換気回数2回=一人あたり48m」だから、ビル管理法の基準「一人あたり30m3」より大きいとしているが、一般的な在室密度の違う商業施設にそのまま当てはまるのか?と言う疑問が生じます・・・・・・

 

(4) この約5倍の換気量を確保するためには、外気導入用のファンの能力の限界から、空調設備の改修が必要となる場合がほとんどであり、実施は困難である。仮に、この量の外気取り入れが可能な場合であっても、空調設備の容量の関係で、温度や相対湿度の基準を守ることが難しくなる。相対湿度が低下すれば、飛沫中インフルエンザウイルスが不活性化する時間が長くなるなど、感染症予防としては逆効果となるというトレードオフの関係にある。
(5) 以上から、一人あたり必要換気量約 30m3 毎時という基準は、感染症を防止するための換気量として、実現可能な範囲で、一定の合理性を有する。ただし、この換気量を満たせば、感染を完全に予防できるということまでは文献等で明らかになっているわけではないことに留意する必要がある。また、今後の知見の蓄積により、よりよい基準に見直していく必要があります。

 

※令和2年春の段階では上記の考察・結論となっていますが、換気回数2回とその5倍である10回を比較して実現困難としてしまっていることが問題です。換気回数2回の5倍(=換気回数10回)は困難でも「実際、窓がない新幹線でも換気回数7回以上」が実現しています。

新幹線では8分で全て空気が入れ替わる

 

注意!!;換気回数2回=一人あたり必要換気量30m3以上がすべての施設にあてはまらない。
施設の種類・収容人数から必要換気量・換気回数を考える必要があります!

 

※次に具体的な換気方法をみていきます。あくまで優先は機械換気といえるでしょう。

換気方法は機械換気もしくは窓開けが推奨されるの基準は!?

1,換気扇などの機械換気方法

機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法

① 機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法
 ビル管理法における特定建築物に該当する商業施設等については、ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認し、満たされていない場合、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行うこと。

ポイント

 都内の場合ですが、駅ビル・大型スーパーなどのほとんどがこれに該当します。床面積合計が3000m3を越えている施設は特定建築物に該当する商業施設であり、換気設備の清掃・整備の維持管理がちゃんと行われていれば、一般的な必要換気量を満たしているはずです。

⇒ただし、売り場の種類・お店の混雑度に応じて「実際どれだけきちんと換気を行っているか?」の情報があまりないのが現状です。

 特定建築物に該当しない商業施設等においても、ビル管理法の考え方に基づく必要換気量(一人あたり毎時30m 3 )が確保できていることを確認すること。必要換気量が足りない場合は、一部屋あたりの在室人数を減らすことで、一人あたりの必要換気量を確保することも可能であること。

ポイント

 ほとんどの小規模の商業施設ではこれに該当するはずです。このような施設でもビル管理法の考えに基づき、一人当たりの換気量を確認する必要があり、かつ満たしていない場合は、「在室人数を減らすこと」が求められています。

大型スーパー・駅ビル等の大型商業施設等でも、「単に換気対策しています」だけでなく、

  • ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準が満たされていること
  • 換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行っていること
  • 二酸化炭素濃度の測定値が1000 ppm以下であること
  • フロア毎の床面積+換気能力・収容許容人数などの明示

 などが表示してあると、来店されるお客さんも安心して買い物などが出来ると思います。

 

2,窓・扉を開ける方法

窓の開放による方法

②窓の開放による方法

・換気回数 を毎時2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)とすること。
※ 換気回数とは、部屋の空気がすべて外気と入れ替わる回数をいう。

ポイント

 決して、「換気回数2回のみで良い」とは云っているのではなく「2回以上」としています2回程度で良いのはあくまで、「ゆったりした個室の一般事務室」、「一般的な美容室」であって、標準的な商店売り場・住宅でさえ換気回数3.2回が必要なことに留意が必要です。

 ・空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放すること。窓が一つしかない場合は、ドアを開けること。

ポイント

 上記について厚生労働省に電話で問い合わせると答えて頂いた担当者は、「あくまで窓開けのみでよいのは一般住宅のみですとの回答でした。通常は何らかの機械換気を「窓開けと併用」することが必要との助言を頂きました。

 令和2年春の段階では、店内にまったく換気扇がない、もしくは天井換気扇もない古い木造の個人商店などを想定してこのような記載があったのでしょうか?通常は、天井換気扇などの機械換気(排気設備)があっても「空気の取り入れが十分でない」ために窓を開けることを想定していたのかも知れません。

★令和2年春の段階のリーフレットだけ見ると、①機械換気、もしくは②窓の開放のいずれかを行えば良いとも受け取れる文面になってしまっています。これが令和2年11月に出された「冬場における「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法」になりますと、大分具体的な指示に変化しています。

効果的な窓開け方法・必要な時間は?

※まず夏の場合から見ていきましょう。

★熱中症予防に留意した「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法より

 換気機能のない冷暖房設備(循環式エアコン)しか設置されていない商業施設等の場合、外気温が高いときに必要換気量を満たすための換気(30分ごとに1回、数分間窓を全開にする)を行うと、ビル管理法で定める居室内の温度および相対湿度の基準(28℃以下・70%以下)を維持できないときがあります。 居室の温度・湿度維持できる範囲内で、2方向の窓を常時できるだけ開けて連続的に室内に空気を通すこと 

※排気用機械換気の有無などについては、夏の時点では検討されていなかったようです。

 令和2年の夏に出されたリーフレットをみていくと、窓開けは2方向が推奨されています。これは冬に出された窓開け換気方法と方針が違っています。この時点では「いろいろなニュースなどで効率的な窓開け換気について」の情報が出回っていた時期であり、たしかに、窓開けのみに焦点を絞ると「2方向窓開け換気が効率的」です。

 一方、室内の温度・湿度管理に着目する「窓を大きく開けっ放しにしてしまう」室温・湿度ともに外気の影響が大きくなってしまうため、「出来るだけ」などと云うはっきりした基準でなくなってしまっています。循環式エアコンのパワーが充分無く、窓を開けられない場合は、「読み方によっては」可搬式空気清浄器だけでも良いとも受け取れる文面となってしまっています。

 

 注意すべき優先順位以下のようになります。

  1. 窓を開けて「一人あたり必要換気量30m3」を維持することが最優先
  2. 循環式エアコンを最大限パワーを上げて室内を適正温度および湿度に保つこと。
    (※著者注釈;エアコン能力が不足する場合は買い換え・付け替えも考慮)
  3. エアコンを最大限温度を低く設定しても室温等を維持できないときに、初めて窓明けを全開ではなく「開ける量を調整して」室温および湿度を維持するように努める。
  4. 窓を開ける量を調整してしまった結果として「施設毎の必要換気量が維持できないとき」に可搬式空気清浄機を併用すること。
    (※著者注釈;窓開けが優先事項であり、窓を閉めてしまって良いわけではありません)

※もちろん、エアコンで室温等を維持できて、かつ十分な換気量が確保できている場合でも、「空気清浄機の併用」は有効です。

 

※一方、令和2年6月17日の参考資料を読むと以下のような記載もあります。

4 考察(熱中症予防の基準等について)より抜粋

 一時的にでも室温が 28℃を超えることを避けるため外気温が非常に高いときに窓の開放によって外気取り入れを行う場合は、定期的に窓を全開する方法ではなく常時、窓を少し開けて連続的に外気を取り入れつつ、循環式エアコンによって、居室における温度及び相対湿度の基準を維持する方法が望ましい。(※できるだけ⇒参考資料の原文では「少し」となっている)

補足事項として

熱中症の予防のためには、こまめな水分補給や健康管理などにも留意が必要です。
間仕切り等を設置する場合は、空気の流れを妨げない方向や高さとするか、間仕切り等の間に空気清浄機を設置するなど、空気がよどまないようにすること。⇒間仕切りが換気を妨げてしまっては意味がありません。

 

※次に冬の場合を見ていきましょう。

窓を開けて換気すべき施設の条件

★冬場における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法より

 換気機能を持つ冷暖房設備や機械換気設備が設置されていない、または、換気量が十分でない商業施設等は、以下に留意して、窓を開けて換気してください。

  1. 「換気機能を持つ冷暖房設備や機械換気設備」まったく設置されていない商業施設
  2. 「機械換気設備が設置されているものの」必要換気量が十分でない商業施設

 は以下に注意して、窓を開けて換気する。

※排気用換気扇の有無などにつき、冬になり具体的に条件が示されました。

◆夏および冬の窓開けの条件を総合すると下記のようになります。
居室の温度および相対湿度18℃以上・28℃以下かつ40%以上・70%以下に維持できる範囲内で、冷暖房器具を使用しながら一方向の窓を常時開けて、連続的に換気を行うこと ※ 冬は加湿器を併用することも有効です。

居室の温度および相対湿度18℃以上~28℃以下かつ40%以上~70%以下に維持しようとすると窓を十分に開けられない場合は、窓からの換気と併せて可搬式の空気清浄機を併用すること

★窓開けの条件が、夏と冬で変わっていることに留意が必要です。
2方向の窓を常時できるだけ開けて連続的に室内に空気を通すこと
一方向の窓を常時開けて、連続的に換気を行うこと※加湿器を併用することも有効

※この際、循環式エアコンの温度・窓を開ける幅を調節し、居室の温度を18℃~28℃に維持する。

※ここでも文面が分かりにくく追加で説明が必要です。

①機械換気(通常排気のための排気設備)のみしかなく「外気の取り入れ」が不十分な場合「1方向の窓を常時開けて、連続的に換気」が有効と思われます。
②「機械換気設備がまったく設置されていない」商業施設では、「1方向の窓のみ開けて十分な換気」を行うことは困難なので「できる限り室温を保てる2方向の窓開け」が必要となります。

※もし、1方向しか「窓を開けることが出来ない施設」では、天井換気扇などの排気機械設備の増設を検討するべきでしょう。大型商業施設に該当しないほとんどの施設が「換気機能を持つ冷暖房設備」はないが、機械換気設備(いわゆる排気用の天井換気扇やキッチン等の換気扇)が設置されているのではないでしょうか?

ここで注意すべきは、「機械換気設備の換気能力≒排気能力」が十分であっても、空気取り入れ口が十分にない場合は「窓を開放する必要」があることです。

 また、機械換気が一切ない商業施設では「窓の開放のみ」により換気をすることとなりますが、片側のみ窓を開けているだけでは「換気不良」になってしまいます。もしも幸いにして「テナントの両側サイドに大きな2方向の開口部を持つ窓」があれば「自然換気のみで充分な換気が行える」かもしれません。

 但し、自然換気の場合は周囲の風速・風向き、天候などによる影響で換気回数が不安定になりがちになり、商業施設ごとに求められている換気回数をクリアできない可能性も出てきてしまいます。

一方向の窓を少しだけ開けて常時換気を行うには、必ずセットとして機械換気(排気)設備が必要となります。排気換気設備があれば室内が陰圧になることのよって開放した窓から自然に空気の流入が担保され「常時換気が確保される」ことになります。(※いわゆる第3種換気となります。)

 

追加事項としては、冬の参考資料によると・・
8 考察(換気量、換気回数の基準について)より抜粋

(2) 「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず一人あたりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるわけではない密集した環境や近距離(手 を伸ばしたら届く距離)での会話等を避ける、という感染リスク低減対策が併せて実施されることを前提として、必要換気量が定められていることに留意する必要がある。

(3) 英国政府の緊急時科学助言グループ(SAGE) は、一人あたり専有面積 1.7m2(1.3m×1.3m の正方形)と いう手を伸ばせば届く距離エアロゾルの発生が高まる場面(歌唱、大声、有酸素活動)においては、二酸化炭素濃度を 800ppm 未満(一人あたり毎時 36-54m3 以上)とした上で、顔を覆う措置や人数制限や時間制限を行うべきとしている。このような場面では、1時間で平均見込み新規感染症例数(average likely number of new cases)が1を超え飛沫感染や接触感染による感染リスクが支配的であることは明らかであり、換気量増加の有益性は否定されないものの、まずは、このような状態とならないよう、密集、密接な接触を避ける方策を優先すべきである。

一人あたり専有面積 1.7m2(1.3m×1.3m の正方形)=バー・レストラン(高級)相当の条件
「密集・密接」が避けられない場面では、余裕を持った換気量を確保すべきである(≒酒を提供する飲食店等)。
 如何に換気対策をしっかり行っても「密集、密接」を避ける感染リスク低減策は必要(≒マスク会食など)と読むことが出来ます。

大切!

お酒を提供して会話をしていることを容認している飲食店では、

  1. パーティーション設置、
  2. 顔を覆う措置(マスク会食)、
  3. 人数制限、
  4. 時間制限が優先的に必要とされる上、

換気量を毎時一人あたり平均45m3二酸化炭素濃度を 800ppm 未満に設定すべきである、
と云うことになります。

※ちなみに飲食店では、営業用食堂・レストラン一般;専有面積1m換気回数10.5回が必要であることにも留意が必要です

 

結局、窓開けによる毎時2回換気の由来は何だったのか?

※上記の流れで見ていくと、決して換気回数2回が必要充分な訳でなく、「少なくとも一人当たり毎時30m」を満たすことが必要と読み取れます。

 窓開けの換気の場合でも換気回数に応じた時間あたりの換気量を勘案して在室人数のコントロールが必要と考えられます。但し、窓開けのみよる自然換気がメインですと外気の風向き、風速などによって換気回数にバラツキがでてしまい正確な回数を把握することができないことになります。

窓開けによる自然換気のみでは計画換気ができない

 

※以下、令和2年春に出されたリーフレットの元になる参考資料の考察です。(外気導入ファン≒第1種換気の場合についてのみの議論?)
(4) この約5倍の換気量(※換気回数2回×5倍=換気回数10回・毎時)を確保するためには、外気導入用のファンの能力の限界から、空調設備の改修が必要となる場合がほとんどであり、実施は困難である。仮に、この量の外気取り入れが可能な場合であっても、空調設備の容量の関係で、温度や相対湿度の基準を守ることが難しくなる。相対湿度が低下すれば、飛沫中インフルエンザウイルスが不活性化する時間が長くなるなど、感染症予防としては逆効果となるというトレードオフの関係にある。

 商業施設において「主に外気導入用ファン」によって空気を取り入れているのは、「大型商業施設における第1種換気」の場合となります。考察において商業施設の条件が限定的になってしまっています。

【いわゆる第1種換気】※ダイキンホームページより引用

 大型商業施設では、専用の外気導入をしつつコントロールする大型の装置があるようですが、一般の店舗に設置できる必要充分量の外気導入ファンはないです。当院でも外気導入を検討しましたが、たとえばパナソニックのカタログをみると排気用の天井換気扇は大容量のものはありますが、外気導入は最大で30m³程度でした。

排気用換気扇では、大容量のものがある

 一般商業施設において空量設備の容量をアップしようとすると、排気用の換気扇を造設もしくは容量をアップして換気量を維持するのが、現実的かと思います。幸いにも排気用の換気扇にはバリエーションが多く、強弱切り替えられる機種もあり、お店の広さ・来店人数から必要換気量を計算した空調設備の改修が可能と考えられます。
 もちろん、充分な外気導入のためには、通常の空気取り入れ口のみでなく「窓やドアをあけた外気取り入れ」が大変効果的であると考えられます。

 すべては、この部分の考察課程店舗ごとの条件を考えず「換気回数2回以上の換気は困難⇒一人あたり必要換気量30m3以上をみたすので合理性あり」と初めに結論づけてしまったことに矛盾があったのでは?と感じます。

換気に当たっての留意点について

① 特定建築物に該当する場合

特定建築物に該当する商業施設等の管理権原者は、ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準に従って当該建築物を維持管理しなければなりません。
基準を満たしていない場合は、建築物環境衛生管理技術者の意見を尊重して 適切な是正措置を講じ、当該建築物が基準を満たすように維持管理しなければなりません。

「近年、二酸化炭素の含有率の基準を満たしていない特定建築物が多数報告されています。改めて換気設備の点検を行うなど、適切な維持管理を行ってください」という文面が気になります。

 大型商業施設は、「どこもきちんと管理しているから過剰な心配をしなくても大丈夫だ」という意見もあるようですが、以下の参考資料をみると平成30年のデータとなりますが、4分の1以上の施設が換気基準に不適合となっているようです。

厚生労働省令和2年4月2日事務連絡より

② 特定建築物に該当しない場合

特定建築物に該当しない商業施設等の管理権原者についても、ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準に従って当該建築物の維持管理するように努めなければならないとされています。
⇒基本的に、「機械換気(≒通常排気設備)がある施設」、「機械換気がまったく無い施設」の両者ともに上記を遵守するようにする必要があります。

□これを踏まえ、機械換気による場合換気設備を設計した者や換気の専門業者に依頼し、換気量がどの程度あるかを確認し、一人あたりの必要換気量が確保できるよう部屋の内部の利用者数の上限を把握するよう努めなければなりません。

 それでは、「機械換気がなく窓開け」のみで換気する施設ではどのようにするか?記載がありません。

 もしも、2方向の窓を全開にすることが出来て「換気回数2回以上」を維持できていると仮定した場合にも、店舗の面積×高さよりテナントの容積を計算すると、その2倍が店舗の時間あたりの換気量となります。最低限の換気対策として、店舗の総換気量より収容可能人数を把握して、それ以上の人数の入場制限をすべきです。

◆推奨すべき表示【窓開け換気のみの場合】

  • 店舗床面積×天井高=テナント容積⇒ テナント容積×2倍=時間総換気量
  • 時間総換気量÷一人あたり必要換気量30m=収容可能人数

 ぜひ、以上の計算式で、換気設備がない商業施設でも収容可能人数を把握しておきましょう。

コラム;厚生労働省・新型コロナウイルスに関する電話相談窓口に聞いてみました!(R3.5.23)

窓開けのみによる換気「一般家庭などを想定したもの」である。
リーフレットに書いてある必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たすことが換気の悪い密閉空間に当たらない大前提としての基準であるということ。
令和2年春のリーフレットで、推奨される措置として、(1)機械換気による方法、(2)窓の開放による方法の2つが書いてあるが、「窓開けにより換気回数を毎時2回以上」を満たせば充分であるわけではない。あくまで、毎時一人あたり30m3を満たすための手段に過ぎず総換気量などを計算する必要がある。
④機械換気の場合と同等に、ビル管理法に基づく必要換気量(一人当たり30m3)が確保できていることを確認し、足りない場合には「窓の開放による方法の場合」でも一部屋あたりの在室人数を減らすことで 必要換気量を確保することが求められています。

電話で問いあわせた結果をまとめますと、以上となりますのでご参考にされてください。

 

具体的な換気の目安は?炭酸ガス濃度計について

 当初は「ビル管理法」の特定建築物に該当する商業施設が満たすべき条件の一つとして、挙げられていた二酸化炭素含有率でしたが・・

 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管理法)における空気環境の調整に関する基準に適合するように外気取り入れ量などを調整することで、必要換気量 (一人あたり毎時30m3)を確保しつつ居室の温度および相対湿度を28℃以下および70%以下に維持してください。

※夏のリーフレットになると文章としては書いてありませんが、空気環境の調整基準の一つとして抜粋されることにより「二酸化炭素濃度」を基準に適合させるように参考資料として記載されます。

※冬のリーフレットでは、必要換気量を満たしているかを確認する方法として、二酸化炭素濃度測定器を使用し、室内の二酸化炭素濃度が1000ppmを超えていないかを確認することも有効との記載が追加。

  • 測定器は、NDIRセンサーが扱いやすいですが、定期的に校正されたものを使用してください。
  • あらかじめ、屋外の二酸化炭素濃度を測定し、外気の二酸化炭素濃度(415ppm~450ppm程度)に近いことを確認してください。
  • 測定器の位置は、ドア、窓、換気口から離れた場所で、人から少なくとも50cm離れたところにしてください。
  • 測定頻度は、機械換気があり、居室内の人数に大きな変動がない場合定常状態での二酸化炭素濃度を定期的に測定すれば十分です。
  • 連続測定は、機械換気設備による換気量が十分でない施設等において、窓開けによる換気を行うときに有効です。連続測定を実施する場合は、測定担当者に測定値に応じてとるべき行動(窓開け等)をあらかじめ伝えてください。

※都内(大田区)ですと、NDIRセンサー測定器での外気の二酸化炭素濃度(480ppm~500ppm程度)となります。また、通常は店舗においては居室内の人数に変動があることが多く連続測定することになります。

 

※NDIR:Non-Dispersive Infrared(非分散型赤外吸収)
 気体固有の赤外線吸収波長帯の光量変化を測定することで、気体の濃度を測定する方式。

図はOshino Lamps Limited.より引用

 

※以下、測定に関する文献を抜粋して見ていきます。

5 感染症対策としての二酸化炭素濃度の基準及び測定に関する文献(参考資料より抜粋)

(2) 欧州空調協会連合会 REHVAは、窓開けによる換気を行っている学校の教室において、二酸化炭素モニターを設け、さらなる窓の開放の必要性を視覚化すること、基準値としては800ppm でオレンジ、1000ppm で赤に光る視覚指示を推奨している。
(3) 英国政府の緊急時科学助言グループ(SAGE)環境モデリンググループ(EMG)によると、二酸化炭素濃度の測定が、多人数が利用する空間における不十分な換気を明らかにするための効果的です。
(4) ビル管理法は、二酸化炭素の測定点として、部屋の中央部の床上 75cm 以上 150cm 以下の位置、と規定している。
(5) 二酸化炭素濃度の連続モニタリングについては、同じ集団が定期的に集まる空間(例:オフィス、学校)においては、感染リスクの指標として用いてもよい。モニタリングが、視覚的な反応をもたらし、窓の開放頻度が向上したという報告がある。

 

換気対策の補助としての空気清浄器の使用について

※上記に関しては、夏・冬ともほぼ同じ

空気清浄機を併用する場合の留意点

空気清浄機は、HEPAフィルタによるろ過式で、かつ、風量が5m3/min 程度以上のものを使用すること。
人の居場所から10m2(6畳)程度の範囲内に空気清浄機を設置すること。
◆空気のよどみを発生させないように、外気を取り入れる風向きと空気清浄機 の風向きを一致させること。

• 空気清浄機を併用する場合、二酸化炭素濃度測定は空気清浄機の効果を評価するための適切な評価方法とはならないことに留意してください。
※ HEPAフィルタによるろ過式の空気清浄機は、エアロゾル状態のウイルスを含む微粒子を捕集することができますが、二酸化炭素濃度を下げることはできないためです。

HEPA(ヘパ)フィルターとは、高性能空気フィルター(High Efficiency Particulate Air Filter)のことを指します。JIS性能要件は0.3μm粒子の捕集率ですので、メーカー公称としてコロナウイルス以下の0.1μm粒子の捕集性能がある方が望ましいと思われます。

 

6 感染症対策としての HEPA フィルタを備えた可搬式空気清浄機の活用に関する文献より抜粋

※令和2年春の参考資料では以下のようになっている。
(1) CDCは、排気を屋外に出せない場合は、高性能粒子フィルター(HEPA フィルター)で空気を浄化した上で、空気の室内循環を認めている。ただし、想定されている HEPA フィルターは、十分な換気能力を持つ固定式の機械換気装置の配管に直結されたものである。
(2) 移動式の HEPA フィルターユニットについては、①全体換気がない部屋における一時的な換気②換気装置が適切な風量を提供できない場合の補強③空気の流れの効率性の向上を図る場合には、使用できるとしている。

※令和2年冬の参考資料では下記に変更になりました。
(1) 厚生労働省は、HEPAフィルタ方式の空気清浄機に、空気中のウイルスを低減させる効果があることは明らかであるとしている。HEPA フィルタ付きの空気清浄機 (風量 2.5~8.3m3/min) であれば、風量に応じ、ウイルス低減効果が向上することが確認されている。

(2) 米国熱冷凍空調学会(ASHRAE)は、HEPA フィルタを備えた可搬式の空気清浄機について、通常の換気装置に追加して使用することを考慮すべきとしている。欧州空調協会連合会(REHVA(2020))は、HEPA フィルタを備えた空気清浄機については、換気と同程度の粉じん除去効果があるとしつつ、その気流は狭い範囲(通常 10m2程度)でしか効果がないとしている。

(3) Mousavi (2020)は、模擬の病室(床面 6.3m×3.9m)プラスチックシートで前室と隔離室に分離し、それぞれの室に HEPA フィルター式空気清浄機を設置(屋外排気)した場合、99%のエアロゾルを除去したとしている。

(4) 米国環境庁(USEPA)は、外気による追加的な換気を行うことが不可能な場合可搬式の空気清浄機は、特に役に立つとしている。その選択に当たっては、①部屋の大きさに適合するとともに、②HEPA フィルタを備えているもの、または、③粒径1μm 以下の粒子を取り除くことができることを製造者が示しているものを選ぶべきとしている。

※粒粒0.1μm以下の粒子を取り除くことができる空気清浄機

10 考察(空気清浄機の補助的な使用について)より抜粋

(1) 換気機能を持つ冷暖房設備を設けている建築物の場合、外気取り入れ量を適切に調整すれば、一人あたり毎時 30m3 の必要換気量を維持しつつ室温を維持することが可能である。一方、冷暖房設備に換気機能がない場合で、機械設備の換気量が不十分な場合には、必要換気量を確保するためには窓を開ける必要がある。その場合、冷暖房器具の能力を最大に設定しても、温度及び相対湿度の基準を維持できなくなることがある。

(2) 室温及び相対湿度を維持した上で、「換気の悪い密閉空間」を改善するためには、窓の開放による換気に加え、市販の空気清浄機を補助的に使用することが有効である。米国 EPA や米国、欧州の空調関係の学会は、外気取り入れを推奨しつつ、HEPA フィルタ式空気清浄機を換気の補助として使用することを推奨している。

間違ってはいけないことは、「空気清浄機は補助であり、優先事項はあくまで必要換気量を維持すること」となります。窓を締め切って、「空気清浄器」を形だけ入れても換気対策とはなりません

 以上が令和2年春、夏、冬に厚生労働省から出された換気対策リーフレットに関する解釈となります。


 これより以下は厚生労働省の出した指針・考察と①東京都の感染防止徹底宣言のチェックシート・②比較的感染抑制に成功していると言われている山梨グリーンゾーン認証制度の基準を比較してみます。

【考察】店舗・飲食店での換気方法・目安が十分でなかったのか?

 都内の感染状況を見ると「換気を含めた3密の回避」では感染対策として限界があり、現在は「人流の抑制がキーワード」なっています。今後、ワクチン接種も進み日本でも感染者数が下がってくると良いのですが、さらに将来的に「新たな変異種や新興感染症」が発生してときに対しても備えておくべきでしょう。

東京都の場合

 感染防止徹底宣言のステッカーを取得(自己申告)するには、上記の如く「扉や窓を開け、扇風機を外部に向けて使用するなど、定期的な換気を行っている」の一行のみ項目をみたせば換気対策はよいわけです。他に具体的なことは何も指示されていません

  1. 窓をあける回数?
  2. 具体的な換気回数?
  3. 定期的とはどのくらいの頻度なのか?
  4. ビル管理法に準じた維持管理が削除され何も示されていません。

この基準不思議なことに、どの商業施設に対しても同じ文面になってしまっています。これを作成した都の担当者「感染症の専門家」と協議をしたのでしょうか?

 厚生労働省は令和2年春の段階で基準を明示していたのにこれでは、きちんと換気をしていなくても「感染防止徹底宣言ステッカー」をお店に貼っていいですよ、と言っているのと同じことになってしまいます。実際の換気回数を把握できなければ、一人当たり必要換気量より店舗に入ってよい人数も把握不可能です。

 推論なのですが、厚生労働省の令和2年春のリーフレットが、「毎時一人あたり30m3の換気量」を満たすために、①機械換気、②窓の開放の「いずれかの措置を講ずる」としたため、そのまま文面通り東京都の担当者「窓開けのみでよい」ことにしてしまい、さらに何故か「換気回数2回以上」という条件も省略してしまったものと思われます。

 東京都では、一度緩い基準を出してしまったもの後から厳しくすることは、なかなか言い出しにくいのかもしれません。

東京都の換気対策PR動画

※なぜか今だに緩めの対策を動画にしています。「こまめな換気、忘れないで?」だけでは受け取り方によって差がでてきてしまいます。

 

東京都の担当者に聞いてみました!

(※令和3年5月23日;上記のお問い合わせ先)

 東京都の感染対策徹底宣言ステッカーのチェックシートでは、換気対策について「扉や窓を開け、扇風機を外部に向けて使用するなど、定期的な換気を行っている」となっていますが、具体的な換気量や換気回数などについて触れられていません。

 厚生労働省のリーフレットなどに比べて簡素な文面になってしまっていますが「なぜでしょうか?」という質問をしてみました。

  • これでは各事業主の方が換気回数・換気量まで把握しなくとも良いことになってしまいませんか?
  • 今は、山梨グリーンゾーン認証制度でも「換気量の把握・換気量より求めた収容人数」などを記載することが求められていますが都内は大丈夫でしょうか?

 なかなか答えにくい質問かと思いますが、担当者の方からは「都内では多くの事業者の方がおり、ご高齢の方などに対して難しい基準にしてしまうと分からないからではないか。」というお返事をいただきました。

「店舗の時間換気量・換気回数が分からない」収容人数も不明のままになり、感染対策ができないのではと質問すると「一都民の声」を上層部に届けていただくということになりました。

 

※次に山梨グリーンゾーン制度を見ていきます。

山梨県の場合

 現在、コロナ感染対策の成功例として山梨県の対策「やまなしグリーンゾーン認証制度」が話題となっております。山梨県の担当者地域の感染対策経験を元に非常に練り上げられた具体的な指示を考えています。

 さらに、良いところは感染対策に対する行政へのフィードバック機能があること、状況によってバージョンアップも行っていることです。では、山梨の場合の換気基準を見てみましょう。

【重要】一見、厚生労働省の出した春のパンフレットと同じですが、「窓の開放」の文面をみると、①窓の開放を5分程度、②2回以上換気⇒十分な換気を行う、③窓・ドアの開放を周知して協力を要請する、とより具体的な強い内容に変更されていることに着目が必要です。

窓開けのみで換気回数2回をきっちり行ったかは判定する方法がありませんので、十分換気を行うことで妥当な表記と考えられます。

 

以下が令和3年4月に追加になった内容です。
具体的な換気量+人数制限についても申告する項目が入りました。


 上記のようになって、

  1. 施設内の人が密集する共用エリアについて換気の詳細を図示する、
  2. 共用エリアのエリアごと必要換気量を算出して管理すること、

となって非常に具体的な指示となっております。山梨県の担当者商業施設の種類毎に「必要換気量が変わってくること」を把握しているものと思われます。

 

さらに、令和3年4月の改定バージョンでは、以下のことが追記されています。

 HEPAフィルター付きの空気清浄機を換気と併用する部分は、厚生労働省のリーフレットと同じですが、

  1. 二酸化炭素濃度測定器を設置して二酸化炭素濃度が1000ppmを超えていないかを確認することだけでなく、
  2. 1000ppmを超えたときの具体的行動が、「即座に窓を開放して換気を実施する」

となっていて非常に分かりやすくなっています。

 万が一、窓開けによる換気が不足してしまった場合にも、「CO2濃度をモニター」していれば、換気量が足りないことをすぐに察知して対応が可能になります。

 たぶん、山梨県対策本部の担当者は、「厚生労働省のリーフレット」の曖昧さに気が付いているのでしょう。ただし、国の出した基準を大きく外れて厳しくすることはできないので、少しずつ記述を工夫して「より実践的な対策となるように工夫されたもの」と思われます。

 上記も具体的な指示であり、すべての店舗に表示してあると安心です。

一方これに該当しない場合、

  • 充分な必要換気量が確保されていて人数制限がいらない場合
  • 窓開けのみで必要換気量が把握されていなくて人数制限ができない場合

についても含めて、「すべての店舗」に対して換気回数や換気量の表示がなされるとより安心かと思います。

 

ぜひ、各管理者の方はホームページおよび店舗入り口に下記のような表示をしてみてはいかがでしょうか?

おすすめの表示内容

【店舗の毎時換気量・換気回数・収容上限人数】
 総換気量:  m3/時 ÷30m3・時=  人 
 
換気回数:   回
※CO2濃度測定器で店内をモニターしています。
 
※窓明けのみの場合は「窓開けにより換気回数2回を確保した場合の推論値」と明記する。 

⇒コロナ感染収束に向けて、頑張って対策しているお店には安心してお客さんも入れるのではと思います。

 

推奨される換気方法・換気量を当院の場合に当てはめてみました

 密閉空間を改善するための換気量・回数などの把握は当院でも以前より考えていました。他の店舗の方も一度は厚生労働省の出したリーフレットはみたことがあると思いますが、少し専門的な用語が多くわかりにくいのも確かです。「ビル管理法に乗っとった施設管理」ビル管理者の誰かがやっているだろうから、うちの店は大丈夫という安易な判断をする方もいるのかもしれません。

 さらに、東京都から感染対策徹底ステッカーの取得要件「大変おおまかな基準」で出てしまったので、それをみて安心してしまった店主の方も多いのではないかと思います。もちろん、厚生労働省の出したリーフレットに強制力はないのですが、「お客さんが安心して来れる環境」のためにはできるだけのことを行うのが経営者としての努めかと思います。以下、当院での換気の計算を例として挙げていきます。

①旧大木皮膚科の場合(令和2年9月移転前)

テナント広さ;床面積合計30m2×高さ2.3m=容積69m3(※大変狭いクリニックでした)

A)換気扇を使わずに窓+入り口ドアを2方向で開けた場合

換気回数を2回(自然換気として)×69m3毎時換気量138m3
毎時換気量138m3÷一人あたり必要換気量30m3収容可能人数4.6人

 医院のスタッフのみで①医師一人、②看護スタッフ2人、③事務スタッフ3人で合計6人おり、自然換気のみだと必要換気量からみた収容可能人数はオーバーしてしまいます。

 

※幸い当院では窓枠に付けていた換気扇がありました。

B)窓枠換気扇(換気能力毎時560m3)を使用して窓を明けた場合

窓+ドアを2方向で大きく開ける事が出来たので、毎時換気量560m3とすることが出来ました。
毎時換気量560m3÷一人あたり必要換気量30m3収容可能人数18.6人・換気回数8回

 スタッフ合計6人をのぞき、院内に12人の患者さんを収容してよい計算が成り立ちます。一方、エアコンの位置悪く能力が低かったため令和2年夏は大変暑い環境でご来院いただいた患者さんにご迷惑をお掛けしました。

②新テナントに移転後(令和2年9月以降)

テナント広さ;床面積合計80m2×高さ2.5m=容積200m3

A) 移転直後の総換気量は1150m3

自動ドア以外に上窓があり、2~3カ所を調整して窓を開放することができる。
天井換気扇はトイレ125m3×2カ所、待合室180m3、診察室360m3×2ヶで合計1150m
院内天井に外気導入用換気口;4カ所

毎時換気量1150m3÷一人あたり必要換気量30m3収容可能人数38.3人を収容可能・換気回数5.7回

 医院のスタッフは①医師一人、②看護スタッフ3人、③事務3人の合計7人。⇒患者さんを31人まで収容可能と計算できる

院内は合計20名が通常の最大患者数となるので、10名+α分の余分の換気量を確保しているはずでした。

・一方、秋になりCO2モニターを導入して二酸化炭素濃度を測定すると、

  1. 屋外では480-500ppm
  2. 朝に院内で人がいないとき500-530ppm程度
  3. スタッフが3,4人来たとき700ppm前後、
  4. 患者数さんが待合椅子の半分程度のとき900ppm
  5. 院内が満室の時1000~1200ppmとなってしまいました。 

 もちろん、スペック上の計算なので多少1000ppmを超えてしまうこともあるのかとも思いましたが、ちょうど11月半ばで年末に新型コロナ感染の第3波がくるかという時期であったので、思い切って天井換気扇のスペックを上げるため交換することにしました。

B) 天井換気扇交換後2285m3毎時換気量(最大)

換気扇はトイレ125m3×2カ所はそのまま
待合室180m3⇒635m3タイプ
診察室360m3×2ヶ⇒430~700m3の強弱切り替えタイプ×2カ所 

最低毎時換気量1745m3÷一人あたり必要換気量30m3収容可能人数58人を収容可能・換気回数8.7回
最大毎時換気量2285m3÷一人あたり必要換気量30m3収容可能人数76人を収容可能・換気回数11.4回

⇒これにより、最低1745m3~最大2285m3の毎時換気量(スペック上)を維持できることになりました。

  1. 昼休みスタッフが3人程度院内に残っていても500ppm前後を維持
  2. 最大混雑時にも900ppm前後で収まることになりました。

※問題点は換気扇を3つ交換したことで、機器代+改修費で約25万円掛かったこと。
厚生労働省が達成できないとした換気回数10回を超えてしまったこと
待合室は騒音が41dBで許容範囲ですが、診察室を強にすると44.5dBややうるさいことです。一応、会話は通常に可能な程度の騒音となっています。 

 排気ダクトの抵抗などを考慮していない数字なので、実際はもう少し換気量は少ないとは思いますが、かなりしっかりした数値の換気量に設定しないと二酸化炭素濃度はすぐにあがってしまうという印象でした。

院内に外気取り入れ口+大型天井換気扇

 令和3年春以降の変異株蔓延後は、天井換気扇を常に強モードにしている状態です。やや換気扇の音がうるさいものの、耐えがたいほどではなく、それよりもきちんと換気してある安心感の方が強い印象です。

 当院のようにテナント改装時より計画的に多くの換気ダクトを入れることはすべての商業施設には困難であると思います。一方、東京都内であると「地下であったり」、「テナントのレイアウト」によっては、完全に十分な換気を行うことが困難なケースもあるかと思います。その場合に、はじめて換気量に応じた人数制限などを検討すべきかと思われます。

 

現在の近況について

 そろそろ夏に入り、日中は30度を超える日も出てきています。幸い上窓を2つ開けた状態で連続換気をしていてもエアコンを使っていると、待合室の室温は25~27度程度を維持できています。

 二酸化炭素モニターはNDIR機種・合計3種類導入しているのですが、あるとき急に全ての診察室内のモニターが1000~1200ppmを超えてしまい「赤ランプ」が点灯してしまいました。確認すると上窓は「ちゃんと開放されて」います。換気扇の状態を点検すると、診察室内の換気扇のスイッチが1つオフになっていました。

通常最大900ppm前後⇒突然全て1000ppmを超え赤マークが点灯

 総換気量が約2200m3から換気扇1つ分の700m3落ちてしまい、1500m3程度になっても二酸化炭素濃度は確実にあがってしまうことを身をもって実感できる事件でした。事業者の皆様はちゃんと二酸化炭素濃度のモニターはされているでしょうか?

当院の必要換気量を再計算

  • スタッフ最大合計8名+待合室チェア17名×2倍(最大混雑時)として想定される最大の院内総収容人数42名
  • 42名×一人あたり毎時必要換気量30m3=計算上の院内の必要総換気量1260m3(換気回数6.3回)ではあるが、
  • 換気扇スイッチ1つオフ時換気量1585m3(換気回数7.9回)⇒1200ppm越
  • 換気扇スイッチ1つ弱換気量2015m3(換気回数10回)⇒1000ppm前後
  • 院内全換気扇スイッチON後、5~6分で徐々にCO2濃度は平常時に戻った換気量2285m3(換気回数11.4回)⇒900ppm前後

 教訓として、①スペック上、かなり余裕を持った機械換気量を確保すべき、②実際に換気できているかはCO2濃度測定器が必須であるということになります。

 

◆コロナ変異株の蔓延によってさらなる3密対策が必要に!

 最近では都内でも「感染力の強い変異株ウイルス」も蔓延してきており、

  • 密接、密集していなくても「密閉空間」(※舞台稽古など)
  • 屋外で密閉空間でなくても「密集・密接」(※屋外でのバーベキュー)

など「3密が重ならなくとも1密・2密でも集団感染を起こした例」が報告されてきております。

変異株に変わって感染力が強まった

 さらに、令和3年4月以降、大阪でイギリス型変異株による「第4波の大きな感染者数の増加」が起きており、大阪府知事が飲食店に対する「見まわり隊」を結成しました。ここでやっと、

  1. CO2モニター密閉空間に当たらないかの判定
  2. 十分な換気が出来ているかの指導チェック
  3. 席の間隔の確認・パーティション設置
  4. マスク会食の徹底

行政によりチェックが行われはじめた状況です。

 問題なことは、ニュースで「慌ててCO2モニターを注文した」「パーティションを買った」という飲食店が多いということです。飲食の場で感染リスクが高いことは、もう1年以上前から分かっていたことです。どうしても人が集まってお酒が入ってしまうと「マスクを外したまま」「大きな声で話したり」「騒いだりする」人たちが出てきてしまいます。いわゆる「密接場面」になってしまうことが多いため、

  • マスクを外した会話が長時間にならないようマスク会食とする(密接の軽減策)
  • 密集場所とならないように席の間隔をあける・パーティーション設置(ソーシャルディスタンス)
  • 換気を徹底する

などの「3密対策」をしっかり行うことが今後も大切となります。

 令和3年4月に、国(内閣官房・厚生労働省・農林水産省の連名)「山梨グリーンゾーン制度」がある程度の成功を納めていることを評価し、各都道府県の知事に同様の基準を周知するように通達を出しております。

「飲食店における感染防止対策を徹底するための第三者認定制度の導入について」

 上記に書かれている「感染症予防対策に係る認証の基準(案)」は、ほぼ山梨グリーンゾーン制度の最新版にならったものになっています。とくに換気対策部分「新型コロナ感染対策の肝の部分」となります。商業施設の管理者は、「そこに書いてある換気対策の意味」をよく読んで理解し、本当に効果的な対策はどのようになっているかを把握し、実践していく必要があります。正しい換気対策「働いているスタッフ・来て頂けるお客さん」の安全・安心となり、今後の新型コロナ感染症の収束へとつながっていくことを祈ります。

 

【最後にお願い】

 本ブログページは、決して厚生労働省の方針を批判したり、東京都の対策に反論するために作ったものではありません。令和2年春の新型コロナ感染流行初期には、未だ分からないことが沢山ありました。

 本ページでは、「厚生労働省の出したリーフレットおよび参考資料」よく読んで詳しく解説を行いたいと思い作成を始めたのですが、①リーフレットの内容、②参考資料をよく読むほど、季節毎の対策にやや難解な点があることに気がつきました。厚生労働省も参考資料の中では、「今後の研究によって対応が変わっていく」ことを明言していますが、一度決まってしまったことを変えていくことは困難な作業です。

 各事業者の方は、参考資料にも眼を通していただき「本当に有効で、必要な対策はなにか」を見極めていただきたいと思います。内容については、当方の持てる知識の範囲で書いたので間違っていることや不足する点があるかもしれません。もしも、お気づきの際はお問い合わせページから連絡頂き、ご指摘いただけますと幸いです

  • この記事を書いた人
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医師;大木更一郎

平成元年日本医科大学を卒業し、皮膚科学教室形成外科斑に入局。平成16年より先代院長と伴に皮膚診療を行う。平成27年大学退職後、医院を継承。(※日本医大形成外科兼任講師・形成外科専門医・救急専門医・熱傷専門医・日本皮膚科学会会員)

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