結節性痒疹| 大田区大森の大木皮膚科【難治性の結節性痒疹でお困りなら】
結節性痒疹(けっせつせいようしん)
結節性痒疹とは?
結節性痒疹とは、主に下腿・太ももなど(時として、上肢、躯幹、顔面)に激しい痒みを伴う0.5~2cm位の孤立性の硬いしこりが数多く形成されることをさします。重症アトピー性皮膚炎、虫さされなどをきっかけとして発生し、一般的なステロイド外用や坑ヒスタミン剤内服のみでは痒みをコントロールしがたい難治性の皮膚疾患の1つとです。
結節部を掻き崩すことにより、傷を作ったり血が出るまで掻いてしまうことが多く、さらに掻くことでどんどんと悪化し睡眠障害や日常生活にも支障を来たします。
原因
通常の湿疹は、慢性化するとガサガサとした苔癬化という状態を作りますが、痒疹の場合には散発性の硬いしこり(結節)のみが作られます。なぜ、このような湿疹変化がある特定の人に生じるのか、今のところ原因不明と考えられています。一部では、金属アレルギー説(皮疹が汗腺に一致?)、静脈一致説(下腿皮下静脈に沿う?)細菌感染説(ぶどう球菌?)などが云われていますがはっきりしません。
一般的に痒疹は、下腿や前腕部に好発することから四肢末端のより乾燥しやすい部位が何らかの刺激により傷つき易くなり、引っ掻くことで傷が真皮の深いレベルに達するためにケロイドの如く過剰のコラーゲン産生が起こり結節を形成するものと推察されます。
一度しこりになると、痒み⇒掻爬⇒傷つく⇒治癒⇒痒みの発生、という痒みの悪循環に陥りコラーゲンの増殖がさらに生じ結節がだんだんに成長していきます。ひっかき傷の深さとコラーゲン産生の程度には個人の体質差が大きく、何らかのアレルギー的素因が加わり痒疹になるとも考えられます。実際、痒疹は掻くと悪くなると云うことが分かっており、全く掻かないでいると自然に治っていくことも知られています。
治療
①痒みが生じて、②掻爬して傷がつく、③傷が治るときに過剰コラーゲン産生が起こる、という過程が痒疹の痒み悪循環サイクルなので、これのどこか何カ所かを押さえられれば、痒疹の症状が改善されるわけです。
《外用剤による治療》
ステロイド外用剤
ステロイドには痒みやアレルギーを抑える作用と硬くしこりとなる余分な細胞の増生を押さえ込む作用があります。
病変部は結節となっているため皮膚への吸収が良いステロイドを亜鉛華軟膏重層(ODT)として塗布したりステロイドテープを使用します。しこりが慢性化する場合には、ステロイド注射(ケナコルト)を併用する場合もあります。
-担当医からのコメント- |
プロトピック軟膏、ビタミンD3外用剤
プロトピック軟膏はステロイドと伴に長期にアレルギー症状を押さえ込むのに有効との報告もあります。難治性の痒疹にビタミンDの外用も効果があったとの報告がありますが、まだどのような機序で効くのか不明点もあります。
保湿剤・鎮痒性外用薬
痒疹はアトピーを基盤とすることが多く、皮膚の乾燥を伴うことも多いです。掻爬を予防するために鎮痒剤(オイラックスなど)を併用する事もあります。保湿をしっかり行うことで軽快するとの報告も見られます。
《その他の治療》
内服薬
激しい痒みをコントロールするために、2種類以上の抗ヒスタミン剤・抗菌剤内服を併用したり、漢方薬を用いる場合もあります。痒みの発作を押さえ込み、無意識にする掻破を如何に防ぐかが大切となります。重症な場合は免疫抑制剤(ネオーラルなど)やステロイド内服も行われるようです。
液体窒素療法
痒みの強い結節を液体窒素を用いて冷凍凝固させて消退させる方法が有効な場合もあります。
・紫外線療法(ナローバンドUVB)
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※ナローバンドUVB 、エキシマライトをご希望の方は担当医までご相談ください。
詳しい治療法は、ナローバンドUVB、エキシマ(乾癬・白斑・円形脱毛症)もごらんください。
日常生活上の注意
硬いしこりが出来て非常に痒みが激しいのが特徴の湿疹です。痒疹は掻く崩してしまうことで、さらに悪化するので外用剤をしっかり使う、患部を包帯で覆う、抗アレルギー剤で 痒みをコントロールするなどして掻かないように工夫をしていきましょう。
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