水虫| 大田区大森の大木皮膚科【爪水虫は診断が大切!真菌培養対応】
目次
水虫・爪水虫
診断が大切!足白癬・爪水虫のご相談ならJR大森駅の大木皮膚科まで
足白癬=水虫のほとんどは自覚症状がなく足の皮剥けがじわじわと広がったり、たまに水泡形成を起こしたりします。早めに皮膚科で検査を受けて治療を始めたほうが良いでしょう。放置すると足全体にひろがってしまうこともあります。
爪水虫では一端治療をはじめてしまうと、途中で再度検査が難しくなるため初めの診断が肝心です。
※初期のうちはかゆくないことが多いので、ご注意を!!
当院を受診される方へ
◆治療を始める前に、顕微鏡検査を行います。抗真菌剤(市販外用含む)は塗らずにご来院お願いします。使っていたお薬は診断の参考になりますので問診票に書くか、必ずご持参下さい。
◆一見水虫であっても、かぶれや細菌感染が悪化したときには早めに病院へ掛かりましょう!
◆皮膚の皮剥け、水疱などが全くないと検査ができません。
※ご注意! 抗真菌外用剤(市販品含む)を1~2週間以上塗布していると、顕微鏡検査で糸状菌を検出することが困難になります。顕微鏡検査を希望の方は、2,3週以上塗り薬は中止してご来院お願い致します。
※爪水虫を治すときには、①抗真菌薬内服、あるいは②専用の爪白癬外用剤を半年以上使用する必要が生じるため、皮膚とは別に爪のみ検体を採取して検査を行います。
当院の皮膚真菌症治療への考え
・染色剤入り検査薬やホットプレート導入により短時間で糸状菌を判定しやすくしています。 ・菌が検出されたときは、モニターにて白癬菌をお見せできます。 ・足白癬以外の水虫では、積極的に真菌培養検査および真菌培養同定も行っております。 ・爪病変では病爪除去+検鏡検査および真菌培養も行います ・どのような治療や生活上の注意を行えば、みずむしを完治できるかお話しています。 |
※外用剤の処方は保険診療上の制約・かぶれなどのチェックのため、最大で1ヶ月分となります。治療には定期的に通院していただく必要があります。
※難治性のもの・角化型白癬などでは、適宜外用剤を追加・変更する場合があります。
※爪の検査には角質溶解に多少お時間を要します。爪は長い治療期間を要し、多数足趾例では内服・採血なども必要となるため、きちんと白癬菌が検出されてから治療を開始することが大切です。
※高齢者の爪にはカンジダ症の合併が多く、真菌培養をしないと白癬(糸状菌)との鑑別は困難です。
⇒最近はお薬が進歩したために、外用治療をちゃんと続けると足白癬は完治できるようになりました!
《爪白癬に対して効果的な爪専用外用剤が登場し、外用治療が出来るようになりました。》
水虫とは?
水むしとは、正式には足白癬といいます。
足の角質層に侵入した水虫(=白癬菌)が増えて、足底の皮が剥けたり、小水疱(=汗疱状白癬)となります。白癬菌は皮膚角質の構成成分であるタンパク質(=ケラチン)が大好きです。趾間などでは、水疱を形成し強いかゆみを伴うこともあります。また、角質肥厚型といって踵の皮膚が厚くなるタイプのものもあります。股間部の皮膚にできるものは、”いんきんたむし”と俗に呼ばれています。
一般にカビの一種である白癬菌は、夏場など高温で湿度が多い環境で元気になりますが、最近は冬場でも暖房やブーツを履く習慣などにより活動しています。一端、白癬菌が足に生着すると角質の中で徐々に増えますが、この時点では痒みなどの症状はほとんどありません。白癬菌が増殖し生きた表皮細胞に到達すると、局所で炎症反応を起こし痒みを伴い趾間の皮が剥ける、水疱を作るなどの症状がでます。
治療は、抗真菌外用薬を塗布しますが、その前に顕微鏡検査で白癬菌(=水虫)がいることを確認します。爪に感染した場合を爪水虫(白癬)といいます。爪では通常外用剤のみではなかなか治らないため、内服治療が効果的です。また、じくじくした場合では、しばしば細菌感染を起こしたり、また外用剤によりかぶれや白癬疹が生じやすいので注意が必要です。
完全に治すには皮剥けが一見治まった様に見えてから、さらに白癬菌は残っている状態なので2ヶ月は塗布を続けるようにします。予防には、足を石鹸で優しく洗い清潔を保つこと、通気性の良い靴を2・3足交替に履くこと、スリッパやバスマットの共用はしないことなどが有効です。
※手指の爪に生じる爪カンジダ症という病気もあります。足の皮が剥けるのには、紅色陰癬などの疾患も考えられます。
※皮膚の常在菌であるマラセチアというカビにより、癜風、マラセチア毛包炎、脂漏性皮膚炎などを生じることがあります。
診断・治療はどうするの?
【診断、合併症は?】
診断は患部の皮膚を少し取り顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。はっきり、白癬菌が確認できれば水虫とわかりますが、1回の検査で確認できない場合もあります。その場合は、外用治療は始めずにはっきりと白癬菌が確認できるまで検査を繰り返すことが大切です。
特に、市販薬を塗っていた場合には白癬菌が見えず、診断が出来ないこともあります。市販外用薬を塗っている方の2割は白癬ではないとされており、たとえ水むしであったとしても塗る範囲や期間が足りないため充分な効果が得られないことが多いとされます。見た目だけで決めつけるなどの自己判断は禁物ですので、なるべく皮膚科をきちんと受診しましょう。
治療しないでいると、裸足で畳や床の上を歩くことで、菌がばらまかれ家族内感染などを起こします。また、悪化しビラン部に細菌感染を起こすと、蜂窩織炎やリンパ節炎にもなります。特に、糖尿病や血行障害のある方では足壊疽や下肢切断などの原因となることもあります。さらに長い間掛かっていることによって、股白癬やいんきんたむし・手水虫となったり、角質肥厚型の難治タイプとなることがあります。足の皮が剥けていたりガサガサでは、夏場にサンダル履きや人前で裸足になれないなど見かけ上の問題も生じます。
※写真は、顕微鏡でみた糸状菌(糸状菌)です。
※角質融解を促進するホットプレート・染色剤入り検査液などで、白癬菌を検出しやすくしております。
※カンジダ症や頭部・体部白癬に対しては真菌培養検査、必要により真菌培養同定も行っております。
※市販水虫薬を塗り始めて1週以上経つと、顕微鏡検査で白癬菌が検出しにくくなります。水虫の診断をご希望で病院に来る前は少なくとも2週間以上は水虫薬を塗らずに来院してください。
【治療は?】
治療は抗真菌外用剤の塗布が基本となります。かぶれや細菌感染があるときは、ステロイド外用や抗菌剤などを優先して使っていく場合もあります。
以前は水虫を完治する薬を発明すれば、ノーベル賞とまで云われましたが、現在使われている抗真菌薬は改良され治療するのに充分な効果を持っています。お酢につけるなどの民間療法は効果が不十分なだけでなく、かぶれなどの原因となることがあり避けておいた方が無難でしょう。
治療のポイント、日常生活での注意は?
【基礎知識】
現在、治療上明かな薬剤耐性菌はない。痒みなど症状がある部分は白癬菌が生きた表皮細胞に到達した所のみ(右図)であり、白癬菌は自由に角質層内で成長し広範囲に広がっている。足の角質層が新しく入れ替わるのに約3,4ヶ月かかる。
現在では人口の約2割が水虫になっており、公衆浴場、ジムなど生活環境の至る所に白癬菌が存在する。床、バスマットなどで白癬菌が付着した場合に毎日足を洗わなかったり、靴を履くなど湿度の高い環境に長くいると白癬菌は角質内に進入する(特に角質に傷があると早く進入⇒感染しやすい)。
※家族で掛かった方はスリッパを共用しない、バスマットを別にする、床を良く拭き掃除するなどに注意して家族内感染を予防しましょう。まず、罹患した方がちゃんと治療することが大切です。
【お薬の塗り方】
当院では、かぶれにくい外用薬を優先して使っておりますが、ジクジク浸軟した部分ではかぶれてしまうことがあります。はじめの1週間は少しずつ様子をみて塗布しましょう。問題ない場合は、症状に応じて1日1~2回外用します。趾間部がジクジクする場合、ガーゼを挟むのも良いでしょう。
通常、お風呂上がりの角質層が柔らかくなっている時に外用します。範囲は症状のある部分より5cmほど広く、趾間、足底と足の側面まで塗ります。使用量は、軟膏1本で1~2週間が適量です。全体にしっとりする位塗って頂き、5分位おいて馴染ませてください。
【治療上の注意】
治療を始めてからは、定期的にお薬の効果を確認します。普通は、約1ヶ月で症状は改善してきますが、効果が悪いときは外用剤を変更したり、追加する場合があります。皮剥けが一見なくても糸状菌は角質層に残っており、症状がなくなってから1,2ヶ月外用治療をちゃんと継続することで、水むしは完治できるとされます。治りにくい場合は、カンジダや他の病気が隠れている場合もあり、はじめの診断が肝心です。
【日常生活の注意】・・・一番大切です!
石鹸で1日1回丁寧にあらい清潔を保ちましょう。ごしごし強くこすると皮膚を痛める場合があります。靴はサイズの合った通気性の良いものを選び、最低3足を交替に履き、できれば日干しで良く乾燥させます。午前午後で靴下を替えるのも良いです。
1日6時間以上靴を履くこと、ブーツや安全靴、ゴルフなどで1日中靴を履くことも悪化要因です。裸足で空気にさらす時間を増やましょう。ジム、公衆浴場などに行った後で、足をタオルで拭く・洗うことも再感染予防に大切です。
治療を開始すると床やマットなどに排出する白癬菌は減少します。家族内感染を防ぐにはバスマットやスリッパは別のものを使い、絨毯や床の掃除をこまめにします。洗濯物は、良く洗って天日で乾燥すれば感染源となりません。
爪白癬(爪水虫)とは?診断、治療ってどうするの?
爪水虫とは、足白癬を長い間、放っておいて足趾周囲の皮膚から爪の中に糸状菌が入ってしまうケースがほとんどです。一端、爪病変に掛かってしまうと大変治りづらく、通常抗真菌剤の内服が必要とされます。
症状は爪の下が厚くなり白色~褐色に濁ってしまうことがほとんどですが、表面のみ白く濁る場合(表層型)やくさび型に爪の中に菌が入る場合などがあります。一方、爪白鮮を治さないと、その部より常に菌が出続けることになり、足水虫も治らないことになります。
【検査】
爪下の角化物を採取して、角質溶解液(ズームなど)で暖めながら溶かすと菌が検出されます。ただし、生きている糸状菌は爪の奥の方に存在しているので、しっかりと検体を取らないとなかなか菌が検出されないこともあります。また、顕微鏡検査だけでは、糸状菌がはっきりと検出されない場合もあり、必要によって真菌培養も行う場合があります。
診断されると、長い治療期間を要します。また、通常は抗真菌剤の内服を要することになる場合も多く肝機能への負担を考え血液検査も必須となります。一度の検査で検出されない場合は、検査を繰り返しちゃんと菌が出たときのみ治療を開始すべきでしょう。
内服治療では、飲み合わせが悪いお薬がありますので、いつも飲んでいるお薬の内容が分かるよう処方薬の控えなどをお持ちください。また、最近行った血液検査などのデータがあればコピーを持ってきていただけると助かります。
【治療】
爪の中に菌がいることがはっきりと診断されれば治療を開始しますが、治療の第一選択は効果を考えて内服治療とされています。しかしながら、抗真菌剤内服は値段が比較的高かったり、長期にお薬を飲まなければならない、肝機能に負担がかかるなどのデメリットもあるため、実際は患者さんの希望をお聞きしながら外用剤治療から開始される場合が多くなります。第1足趾の爪が全て生え替わるのには、約1年間かかると考えられます。
【抗真菌剤外用】
従来、爪水虫は爪の下側奥深くまで入ってしまうため外用治療は無効とされてきました。確かに全爪型の爪白鮮では内服治療が有効であると考えられますが、部分的な爪白鮮、楔型爪白鮮、表層型の爪白鮮では塗り方を工夫することにより、外用治療でも充分に効果をあげることができると考えます。外用薬の剤形には、液体、クリーム、軟膏などがありますが、爪に対しては複数の剤形を組み合わせて使用する、入浴後早めの塗布を励行する、1日の塗布回数を増やすなども有効と思われます。
※当院では難治性の爪カビに対しては、病爪除去や爪甲に開窓治療も積極的行っております。
※最近では、アプリケータ型の外用療法やラッカー型抗真菌剤(いすれも自費診療)も有効との報告がありますが、病巣部に如何にお薬を届かせるかが外用治療のポイントでしょう。
◆クレナフィン爪外用液10%とは? 科研製薬において創製されたエフィナコナゾールを有効成分とする日本初の外用爪白癬治療剤です。以前は日本国内で承認されている爪白癬治療薬は経口抗真菌薬のみでしたが、肝障害等の副作用や薬物相互作用がみられることがあり爪白癬に対し外用剤で有効性が期待できる新たな治療薬が望まれていました(平成26年9月保険適応)。 クレナフィンは、各種基礎的研究の結果、爪白癬の原因である皮膚糸状菌に対して高い抗真菌活性を有することが確認され、ケラチンとの親和性が低いため爪甲での透過性に優れています。クレナフィンの臨床試験は、米国など海外においても、すべての評価項目において有効性が認められ、安全性については大部分は適用部位の皮膚症状のみでした。 |
※処方の注意としては、必ず顕微鏡検査もしくは培養にて爪白鮮が陽性であること。また、1本(3.56g;4週間で使い切ること)の薬価約6000円のため自己負担も1800円(3割負担)とやや高めとなることです。
※多数趾の爪病変であっても月2本までが保険適応という制限があるものの、1~2本までの爪であれば、内服薬であるラミシールの先発品よりも安いとも言えます。
※気になる治療効果ですが、平成26年秋以降処方を開始しましたが、軽度の爪白鮮の改善率はかなり良いのではという印象です。
※現在の所保険適応の面より、爪白鮮外用剤クレナフィンと内服抗真菌薬とは併用治療ができません。まず軽度の爪白鮮であれば、クレナフィン爪外用液からはじめてみても良いと思います。
《クレナフィンの使用方法》
1日1回入浴後に①爪全体、②爪の両脇、③爪の先端に塗布し、必ず皮膚に付いた余分な薬液を綿棒かティッシュにて拭き取ります。内容量が3.56gとあまり多くないため無理に押し出すとすぐになくなってしまうので、ハケから自然に染み出る量を塗ると良いでしょう。メーカーでは有効使用量・製剤の衛生面から1本を4週間以内に使い切ることを推奨しています。
※もし、クレナフィンを使いはじめて数ヶ月経過しても治療効果が不十分な場合は下記の内服治療に切り替える必要があるでしょう。
【内服治療】
現在、抗真菌治療内服薬には①ラミシール錠、②イトリゾール錠という2種類があります。内服薬は爪の中に長い間留まるため、外用剤の届きにくい爪の奥にある糸状菌も殺菌することが期待されます。どちらも爪病変に対する有効性は8割強となります。
もし、効果が不十分な場合は一時休薬の後に違う種類の薬に変更する、再度、内服治療を繰り返すなどの選択枝があります。初めの内は定期的に受診して頂き、内服薬を飲んで問題ないか、血液検査で肝機能に問題ないかなどを確認しつつ治療を行う必要があります。
※肝機能障害を避けるために、血液検査は内服開始前および内服開始後1ヶ月目と2ヶ月目に必ず行わせていただいております。
①ラミシール錠(お薬代;1ヶ月2100円程度⇒半年間で12600円程度)
海外でも広く使われている抗真菌内服薬です。1日1回お薬を飲み、半年間通院治療を継続します。マルホよりネドリール錠という同等の効果があるジェネリック品が出ており2割程安いお薬を選択することもできます。お薬代が比較的安く、通院するため医師と治療効果を確認しながら経過をみれるというメリットがあります。
②イトリゾール錠(お薬代;1週間8500円程度⇒3クールで25000円程度)
パルス療法という方法で内服されることが多いお薬です。1日8錠を1週間内服して3週間休薬するという形式で3回繰り返すことで、有効成分が爪に浸透・残留するため内服終了後も3-4ヶ月間効果が持続します。併用禁忌薬がやや多いため、内服開始時に確認が必要となります。
通院回数が少なくて済むため、お忙しい方に向いている治療と言えます。治療効果の確認のため、治療終了後にも時々に診察にいらしてください。イトリゾールは脂溶性の薬剤であるので食事の直後に内服した方がより吸収が良くなります。
※お薬の製剤技術が難しいため、イトリゾールのジェネリック品はほとんど効果がありません。また、イトリゾールの後発品で「イトラコナゾールMEEK」にて令和2年末に睡眠導入剤の混入があり、交通事故にて2人死亡するという事件がありました。
※近年、ネイリンという新しい抗真菌剤内服も登場しました。12週間(約3ヶ月)内服することで、効果が6~9ヶ月程度継続します。従来のラミシール・イトリゾール内服よりも大変効果的となっており、多数趾の爪白癬がある方にはお勧めしております。
※ネイリン情報サイト;https://nailin-navi.com/top.html
⇒医療関係者ですか?と出てきますので「はい」を押すと閲覧できます。
いんきんたむしについて
菌が体幹や陰部につく場合を体部白癬といい、特に股部についた場合は「いんきんたむし」という俗称で良く知られています。特徴は、丸くリング状に拡大する紅斑で周囲が赤く盛り上がる一方中心部はやや褐色となり赤みは減ります(中心治癒傾向)。男性などで陰部が蒸れている場合、スポーツなどで良く汗をかくなどで発生することが多いようです。 検査は、足の場合と同じで周囲のかさかさした部分を取って、顕微鏡で白癬菌の有無を確認します。菌が確認されれば、抗真菌剤外用をしっかり続けることで治癒しますが、皮膚の黒ずみがすっかり取れるまで1ヶ月以上治療を継続することが大切です。1日1回はシャワーで患部を流し清潔にする、汗をかいたら肌着を変えるなど高温、多湿の環境も改善しましょう。
頭部白癬(しらくも)、顔面白癬とは?
頭部に菌がつくケースは限られており、レスリング・柔道などの格闘技の練習の際にうつるトリコフィトン・トンズランス菌などが知られています。重症の足水むしがある場合、ペットなどの白癬菌感染、海外からの荷物を扱う仕事の方にも発生する場合があります。足に感染を起こす原因菌は9割以上がトリコフィトン・ルブルム、トリコフィトン・メンタグロフィテスという白癬菌がですが、頭部・顔面白癬などでは様々な種類の菌が原因となりうるので真菌培養をおこなう方が良いでしょう。
※当院では、足以外の真菌症感染では積極的に培養検査も施行しております。
症状は、他の部位の白癬と同じく当初は紅斑、皮膚のカサカサが見られ顕微鏡検査によって菌が検出されますが、次第に毛根部深くまで白癬菌に侵されるため、毛が容易に抜けたり、毛穴が化膿した状態からケルスス禿瘡(とくそう)という脱毛斑に進展します。
診断は、上記の特徴的な臨床所見に加えて皮膚および毛を検鏡して白癬菌が見いだされること、培養によって菌が生えることがなどが参考に行います。顕微鏡でうまく菌が見えない場合にも病巣部の皮膚をブラシ法やセロハンテープ法などで採取して培養すると、白癬菌の生育が観察される場合もあります。
治療は初期の場合には、抗真菌剤外用が有効な場合もありますが、大概の場合は毛根部に白癬菌が入り混んでしまうため抗真菌剤内服治療が必要となります。進行した頭部白鮮に抗真菌剤の外用を行うとかえって菌が皮膚深くに入り炎症が起こることがあり安易な外用は禁忌とする意見もあります。頭部白鮮は小児にできることが多く、内服薬はイトリゾールが選択される場合が多いです。爪白鮮治療の場合と同じく、肝機能への影響を考え月に1度の血液検査は必須となります。飲み方はパルス療法ではなく、夕食直後1日1回の連続内服療法になり、症状がなくなるまで治療を継続する必要があります。
※イトリゾールのジェネリック品はほとんど効果がありませんのでご注意ください。
皮膚カンジダ症、カンジダ性爪周囲炎とは?
皮膚につくカビ(真菌症)には、皮膚常在菌であるカンジダも悪さをする場合があります。カンジダ自体は非常に弱い菌ですので通常は病原性を持つことは少ないですが、高齢者の股部、乳児の首まわり、オムツ周りでのステロイドが効かないモヤモヤした皮疹があった場合、皮膚カンジダ症を疑う必要があります。最近では節電の影響もあり男性股部にも夏に散見されるようになりました。また、水仕事を良く行う中年以降の女性の指間びらんを見た場合などは指間・趾間カンジダ症が考えられます。
指先の爪周りには手荒れと伴にガサガサした湿疹病変がよく見られますが、細菌感染を起こして細菌性爪周囲炎を起こす場合があります。湿疹や炎症でジクジクした状態が長引くといつの間にかカンジダ性爪周囲炎に移行してしまうこともあります。さらに、長期化すると次第に爪の形が変形して爪カンジダ症となってしまうこともあります。水仕事をする方の長引く爪変形や明かな白癬菌がない足趾の爪肥厚はカンジダが原因かもしれません。
検査は、皮膚や角質の一部を採取して顕微鏡検査を行います。皮膚カンジダ症で典型的なものでは胞子および細い菌糸がみられますが、爪カンジダや非典型例では必ずしも菌がはっきりと見えない場合もあります。その場合は真菌培養を行いクリーム状のコロニーが観察できればカンジダ菌感染の疑いが濃厚になります。
治療は抗真菌剤外用ですが、びらんを伴う場合には抗真菌剤は刺激があるので亜鉛華軟膏などで皮膚を乾燥させてから治療を開始する、亜鉛華軟膏に抗真菌剤を重ねるなどの工夫が必要です。皮膚が蒸れると悪化しますのでシャワーでやさしく洗って清潔を心がけ、ガーゼは挟み皮膚を乾燥させましょう。爪カンジダでは外用療法では充分な効果が出ない場合が多く、抗真菌剤内服が必要になるケースがあります。
【関連情報】
《皮膚真菌症のことなら大田区 JR大森駅の大木皮膚科までお気軽ご相談下さい》