いぼ治療|大田区大森の大木皮膚科【難治性ウイルス性疣贅にお悩みなら】
目次
いぼ治療専門外来
ウイルス性疣贅ってどうするの?
《難治性のウイルス性いぼ治療ならJR大森駅の大木皮膚科までご相談下さい》
尋常性疣贅は皮膚科では一般的な疾患である一方で、一端経過が長引くと指先や足底では大きくなってしまい、難治性疣贅となることが良くあります。
当院では、疣削ぎ治療に加え、液体窒素・サリチル酸外用・モノクロロ酢酸などを使用して、なるべく保険内での治療を行いながらも、完治をめざして施術をしております。
◆難治例では、疣削ぎ治療・サリチル酸外用をまず行って、ある程度小さくなったらモノクロロ酢酸療法が有効です。通常の治療に反応しないものに適応を選択して行っております。
※他の病院に通院して、なかなか治らない難治性の症例もお引き受けしておりますのでご相談ください。
※ウイルス性疣贅治療の基本治療戦略は、免疫反応を賦活化するために液体窒素を地道にしっかりと施行しつつ、漢方のよく苡仁などを飲むことです。
※難治性のものを短期間で治したいとご希望の方もいますが、各々の治療に対する反応をみながら治療を追加していく必要があり、継続通院が必要となります。ある程度の痛みもご了承の程お願い致します。
※角質化の強いイボでは、まずサリチル酸外用剤などによる角質軟化療法のみを行う場合もありますので、ご来院時はご了承の程お願い致します。
※難治性の芯は、毛穴・汗腺の奥にあると言われ非常に深い場合もあります。必要に応じて局所麻酔下の処置や、ぎりぎりまでの削り込みを行いますのでお願い致します。
ウイルス性いぼ治療でお困りの方は、メールでもお問い合わせください。当院では、大学病院やレーザー治療をおこなっても治らない方の治療もお引き受けしております。液体窒素療法を主として、いぼ削り治療・サリチル酸外用などを行い治しております。
その際、①いつ頃から出来たか?、②他院での治療歴・投薬内容、③イボが出来た部位および数など、差し支えない範囲で情報をいただけますと幸いです。
診断・いぼ削ぎ治療は医師が行いますが、液体窒素は医師の指示のもと看護師が行わせていただきますので、ご了承のうえご来院ください。
※週末午前・夕方は大変混み合います。なるべく平日日中(院長担当日)に受診される様お願い申し上げます。土曜にご来院される場合は、午後外来に受診をされるようお願いしております。
※なお、男性医師が治療を担当するため女性の外陰部のいぼ治療はお断りしております。お困りの方は婦人科等へご相談ください。
当院の”尋常性疣贅”治療への考え
・ウイルス性疣贅は一度に完治させることが難しい病気ですが、適切な液体窒素療法を基本とし、壊死したイボを適切な深さまで削り込み、継続通院していただくことで治せる疾患であると考えます。 ・治療には、ヨクイニン(ハトムギエキス)内服が有効であり、難治性のものでは適応のある漢方エキス剤の併用を行うことで液体窒素の効果を高めることが出来ます。 ・経過の長い難治症例は、通常の治療のみでは反応しにくくなります。サリチル酸絆創膏・ビタミンD3製剤を用いることで、なかなか小さくならないイボもも徐々に小さくすることが可能です。 ・難治性で深い場合では、芯が毛穴や汗腺の奥で皮膚深部にあります。各々の患部の状態に対してどうやって深い所まで攻める治療戦略を行えるか?再発の確認まで含めると6ヶ月~1年近く要することもあります。 |
※単独の治療法を希望されてのお問い合わせもありますが、治療には段階に応じて治療法を適宜組み合わせたり、追加する必要がありますので、治療法の選択は医師が判断しますのでご了承ください。
※関連大学病院で難治であったものも、当院で治ったケースもあります。他院でなかなか治らないイボもお引き受けしますが、治療には継続的な施術と痛みがあることをご理解の程お願い致します。
※液体窒素治療のあとには、患部に炎症・痛みがでることもあります。スポーツや外出の予定のないときにいらしてください。
《疣贅は一度に治すことは困難ですが、肬削ぎ治療、液体窒素治療・ビタミンD3製剤・サリチル酸絆創膏・モノクロロ酢酸など施術をタイミング良く行っていくことで徐々に小さくすることが出来ます》
⇒なかなか治らない難治性イボに対しては各々の状態に応じた治療作戦を立てて、ウイルスの芯への攻略法を如何に駆使できるかが肝になりあす。がんばって治していくという気持ちが大切とされます。
いぼとは?
いぼとは、主に、足の裏、手指にできるイボウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス=HPV)が原因で出来る結節状のしこりのことを言います。
ときに魚の目、タコと間違われ、いじってしまうと周りに自己接種されて増えてしまいます。抵抗力の弱い子供に出来ることが多いですが、大人に出来ることもあります。足の裏など加重のある部位では、イボは角化が強くなり、難治性となってしまうケースが増えます。
治療法としては、一般的に角化したイボ表面を削り取ってから液体窒素療法を行います。普通は、施術は2週間おきに行い、トータル5,6回位は必要としますが、足裏などで分厚くなった部分では6~12ヶ月程度要する場合もあります。
疣贅が治りにくい方へ
当院では特に足の裏・指先にできる難治性イボに対して、①肬削り+液体窒素よる凍結壊死療法、②ビタミンD3外用剤併用による深い“芯出し”療法、③モノクロロ酢酸による腐食療法に加え、必要に応じてブレオマイシン注射治療なども行っておりますので、ご相談ください。局所の免疫力を高めるため漢方薬(ヨクイニン)を内服する場合もあります。痛みに弱り小さなお子さんには、痛くない外用治療をご相談の上お勧めすることがあります。
治療は、患者さんのイボに対する免疫力・イボの大きさ・部位などにより、長い治療期間を要する場合もありえます。3週間以上治療の間隔が空いてしまうと、治療効果が落ちると統計的に言われます。もしも、継続通院が困難な場合やどうしても用時がありしばらくご来院出来ない場合は、さわらずにそっとしておくことも大切です。
※局所免疫が賦活されると、難治性の場合でも周りに赤みや腫れがあこって、一気に治ってしまうこともあると云われます。治ると信じて治療を行っていくことも良い効果をもたらすとされています。
◆症状は?◆
手足や顔面、陰部などにザラザラした角化を伴う黒い点々を皮下に伴う”かたまり”として気がつくことが多いです(右写真)。皮膚の柔らかな手の甲や首などでは乳頭腫状にやや手のひらを広げたように隆起した突起として出現することもあります。普通は痛みなどは感じないことが多いのですが、足裏などで角化がおこり大きくなったイボに加重が掛かると痛く感じる方もいます。
初期のうちは小さなしこりとして発生するため、毛嚢炎、魚の目などとの鑑別が難しい時期もあります。通例では、2,3ヶ月で特徴的な形態となり、見た目で診断できることがほとんどです。一方、タコ・魚の目がもともとある場所に傷がついて出来ることもありますので注意が必要となります。
重篤な場合では、好発部位の手足や顔などに多発することもあり免疫不全を伴う白血病やエイズなどの基礎疾患の検索も行った方が良いと思われます。
【ウイルス性肬の治し方】を動画にしました!
当院でご来院時にお話している”治療のご説明”になります。来院前に、下の動画をごらんになって頂きますと、ご参考になると思いますのでお願い申し上げます。
種類はどんなものがある?
”いぼ”という言葉は俗語で小さな皮膚より隆起した出来物を差します。一般に、脂漏性角化症や軟性線維腫/お子さんにできる伝染性軟属腫など多くの疾患を含みます。中には悪性腫瘍と鑑別のため生検を行うこともあります。
このホームページでは、主に尋常性疣贅について述べていきます。疣ウイルス自体は自然界に多数存在し、正常の健康な皮膚には感染しません。一方、小さな傷口が皮膚に出来て表皮基底細胞まで達すると、その幹細胞に感染をおこす(上図)と云われています。免疫力は個人差があり、指・足の裏に傷が付きやすい方にできる傾向があります。足、指先などでは角質が厚くなり難治性となりやすく、ある程度以上の大きさになると極端に治療期間が長くなります。
疣贅ウイルスには約170種類以上の型があり、それぞれ出来やすい場所があり実際の病型にもいくつかの種類あると云われています。基本的にはすべて“肬ウイルス”が原因ですが臨床的形態からさまざまな病型に分類されることが多いです。
診断はどうするの?
診断は、通常特別な検査はなく視診とカミソリで削り古い点状出血斑があれば分かります。本体は表皮角質内で肉芽腫(血管の塊)になっており、角化層に進入した血管が透けて黒いぽつぽつに見えます(右写真)。
扁平疣贅・糸状疣贅などでは出来る場所や形態などからある程度の大きさがあれば診断が可能となります。足底部や手のひらなどで角化がつよく“肬”か“魚の目”か判断が迷う場合にはカミソリで削っていき、何もなくなれば魚の目、黒い点状のプツプツがあれば“肬”と鑑別します。小さな初期のものでは削ってみると、ほぼ角化した病変部が取れてしまうことがあり、経過をみて再度判断させていただく場合もあります。足裏では、見た目では魚の目との鑑別が出来ないこともあり、角質を削った状態で判定がつくこともあります。
当院は肬治療で来院される方が多く、”足底部のものを毎週他院で凍結治療で焼いていたが治っているのかというご相談”もあります。厚くなった角質を削ってみると、すでに治っているというケースも散見されます。特に、角質の厚い足裏や指先の爪周りでは時々カミソリ等で角質を除去していかないと液体窒素を当てる加減も分かりませんし、どこがイボの芯であるかの診断も困難と思われます。(左写真)。
その一方で、手背など表皮が薄い場所でも、芯が毛穴の奥に入って”繰り返し”再発するケースもありますが、液体窒素療法を繰り返し過ぎると、ケロイド状の瘢痕になってしまってご来院する方もいます。その場合は凍結治療を一時中断して経過をみないと治っているかどうか判断できないこともあります。
尋常性疣贅治療法の概要
ウイルス性疣贅の治療で有効性の証明されたものは液体窒素とサリチル酸外用のみで、他に種々の治療法はあるのですが、それらの効果には個人差があり「これぞ切り札」という程のものはありません。病変は基本的に表皮のみであり、治療した後に瘢痕形成や傷跡を残すのは好ましくないとされます。
現在治療に用いられている主な治療法
・液体窒素療法、サリチル酸外用(スピール膏、イボコロリ等);保険適応の主たる治療法
・電気凝固法・レーザー療法(保険適応外)は基本的に同じ
・ヨクイニン内服・漢方;保険適応かつ副作用が少ない
・ブレオマイシン注射療法、5FU軟膏塗布、ビタミンD3外用剤(小児や他法が無効例)、エタノール湿布、モノクロロ酢酸、フェノール、尿素軟膏、グルタールアルデヒド法(かぶれや空中への蒸散などが問題)
・シメチジン内服、消炎鎮痛剤内服、レチノイド内服;保険適応外
・ベセルナ軟膏、アラセナ軟膏;保険適応外
・免疫賦活療法、肬削ぎ法
・外科的切除;出血、皮膚に傷を作るなどが問題
・お灸などの民間療法、肬とり地蔵
以上、さまざまな治療法が提案されている=決め手がない?
※どの治療法を用いても、多くの場合一回の治療で治すことは難しく、何回か繰り返して治っていきます。自然治癒もあると言われる一方、長く放置すると難治性となります。治療を中断すると周りに再発(ドーナツ現象)することや、他部位への感染も心配です。癌化は稀ですが、子宮癌の原因としてHPV16型ウイルスもあります。
治療法とその攻略法各論について
◆お願い◆
疣贅は一度に治すことは困難であり、定期的な通院が必須となります。また“芯”は皮膚深くにあるため、治療にはある程度の痛みを必ず伴います。痛みに弱い方は診察時に自己申告をお願いします。
また治療後は1~2日は炎症・痛みが残るため、運動・水泳などのご予定をいれないようにお願いいたします。お電話のお問い合わせで、単独の治療法(例;電気凝固法やブレオマイシン注射など)のみをご希望される方のお問い合わせがありますが、治療の方針は状態をみて医師が判断致しますのでご了承ください。
液体窒素療法
治療の基本は液体窒素による凍結凝固法になります。理由としては、①医学的に有効性が証明されていることや、②保険適応があるなどの理由により多くの医療機関で行われています。欠点としては、①一定の痛みが伴うこと、②施術者の技術により治療効果に差が出ることなど、が挙げられるでしょう(右上;液体窒素写真)。
液体窒素が効く理由として挙がられるのは、①直接病変自体を凍結壊死する効果、②本体に入る血管を凍結し組織にダメージを与える効果、③液体窒素によってダメージを受けた組織に免疫反応が誘導されること、などが挙げられるでしょう。特に、当院では③の免疫反応の賦活化が治癒機転に大きな役割をもっているのではと考えております。もちろん、芯は従来考えられていた表皮細胞の基底部より深い毛根や汗腺の根元にある場合も多く、それぞれの“ケース”の芯の方向を考えある程度しっかり凍結療法を行っていくことが必要となります。他の外用療法や腐食治療などを行っていたが効果が出ないために、再び液体窒素をしっかり行い始めたところ突然治ってしまったり、他医で1年以上治らなかったものが当院でしっかり凍結を行うと4,5回で治ってしまうなど、ということも経験します。
“液体窒素療法は効果がない”という意見も他の医院サイトで散見されますが、特に保険診療で治すには必須の療法であり、かつイボに対する免疫を付けるのに効果的な方法と考えております。問題点は“芯”方向へ凍結をある程度しっかり行うことが大切なため、”より多くの治療を行ってきた医院”の方が各々の芯がどのあたりまで深くにあるかを経験として知っており、より効果的に本法を使いこなすことができるのではと思われます。逆に、当院に受診されて治っていない方をみると、他医で毎週ごとに液体窒素を弱くしか施行されておらず、当院で治療を受けたあとに“治すのにはこんなにしっかり液体窒素を行わないと行けないのか”とおっしゃる方もいます。(※右上②が深い芯レベル)
当院では、基本的に冷凍凝固法は“綿棒法”(左写真)で行っております。冷凍凝固治療は“スプレー法“という専用の噴霧器を使用している医院もありますが、綿球の巻き方・形などを工夫することよって綿棒法で充分治療効果を出すことが可能です。治療では、綿球の当てる方向が大切なため、”患部“を真上にて向けてが基本となります。ご来院時には治療する向きにもご協力お願いいたします。
尋常性疣贅の本体は血管の塊(肉芽腫)のため、液体窒素の当て具合によっては大きな血豆(血疱)を作ることがありますが、その場合は早めに再診されてください。血疱を作ると円形に病変が拡大する“ドーナツ現象”の原因になるという意見もありますが、逆に本体が壊死して肉芽腫から内出血を起こすときに、このような現象が起きるとも考えられます。血疱を形成することは決して悪いことだけではなく、当院では大きな血疱を形成した後に急速になおるケースも経験されます。このあたりは施行者の腕のみせどころになると思われますが、血疱を作るぎりぎりまで強く凍結療法を行うというもの“治す“ためのコツなのではと思われます。
いぼ削り治療
小さなものでは、そのまま凍結療法を行うこともありますが、大きな角化を伴う“場合”ではまず、削り込みによる本体の露出が必要となります(上写真)。角化を伴う大きな病変に直接凍結療法をおこなっても、びくともせず治療効果を上げることが出来ません。
当院ではまず、カミソリにより角質層を削り、直接本体を出血するぎりぎりまで削り込んでいき、どこにあるかはっきりさせてから直接本体にしっかり凍結治療を行うようにしております。治療の目標は、如何に皮膚深くにある“芯“(=ウイルス感染細胞)を排除するかになりますので、液体窒素療法を用いてどこまで深い芯に対してアプローチできるかが、まず大切となります。
凍結療法後にも、治療効果を上げるため黒く壊死した角層を削る必要があります。通常、1,2回の治療では本体が奥の方に残存しており、周囲の角質と壊死に陥った患部を出血させない範囲で過不足なく削ぎ取るのがポイントです。通常2週間程度で再診していただくと、壊死した角質と生きた皮膚表面の境目ができて来る時期となりますで、削り込みを行うと小さくなった“残存する本体”が見えてきます。顔面・首や手の甲などでは壊死した組織が自然にぽろっと落ちることも多いのですが、特に手のひら・指先・足の裏では角質層が厚いため自然に壊死組織が落ちることはありません。黒変した角質の上から焼いても治療効果をあげることは困難です。削り込みを行った後(右上写真)に、残った本体の芯に向けて、ポイントを絞ってしっかり凍結を行うことが治療の基本となります。
通常、以上の様な治療を繰り返し、芯が残っていれば、さらに治療を繰り返し徐々に小さくしていきます。完治する場合には、指紋がはっきりと見え平らとなるか、病変のあった部分が少しだけ陥凹することが多いです。
※通常、肬削り処置は正常な生きた皮膚表皮組織からの“ぎりぎりでの削り込み“が大切なため、医師が直接対応します。両手もしくは両足など多発しているかたではお時間の掛かる処置のため、治療の合間に他の患者さんの診察も行う場合がありますのでご了承ください。
サリチル酸外用
サリチル酸の外用は治療効果が証明された方法の一つとされ、海外などでは高濃度のサリチル酸クリームが売られていると云います。本邦ではサリチル酸の外用は通常50%サリチル酸絆創膏(スピール膏)が用いられることが多いのですが単独での治療成績はあまり期待できないことが多いようです(右上;サリチル酸原末)。
下記のビタミンD3軟膏療法と組み合わせたり、液体のサリチル酸などと併用すると治療効果をあげることができるとされています。また、50%サリチル酸軟膏を使って効果を上げている大学病院もあるとも聞きますが、当院でも50%サリチル酸軟膏を試作し数名に使用したところ通常のサリチル酸絆創膏との有意差はなさそうです。
※自己判断で刺激するとかえって、増えてしまうことがあるので注意をしましょう。
グルタラール
通常、電子顕微鏡標本の固定に用いられるグルタールアルデヒドは組織やウイルスを殺菌・固定するとされています。薬液を入れ物にいれて患者さんに渡し、自宅で毎日1回患部に塗布して乾燥させる処置として用いられます。単独での治癒率がそれほど高くなく、また環境中への蒸散、アレルギー反応の誘発などの問題があり当院では使用しておりません(右上;ステリハイド)。
モノクロロ酢酸
お子さんの痛くない疣治療に用いられることが多いことで有名な治療法です。モノクロロ酢酸は蛋白変性作用・組織の腐食作用があり小さなものでは単独での治療効果が期待でき、皮膚科医の治療人気ランキング第2位(凍結療法以外で)とされております(右上;モノクロロ酢酸)。薬液の塗布は医院で行い、当日1日は濡らさずに置いて、翌日の朝に流水やシャワーで洗い流すようにお願いしております。利点は治療を医院内で医師が行うため管理が比較的安全なこと、塗布の程度を医師がコントロールできるため治療効果を上げることもできると考えております。注意点は弱くても酸のお薬のため、薬液が付いた手で目を擦らないこと、痛みが4-5日以上強く続くときは早めに再診していただくことをお願いしております。
利点は、深い芯の場合で肉芽腫が露出した症例に使うと痛みがでるものの、肉芽腫を直接腐食させることができるので液体窒素療法と組み合わせて、治療効果をあげることが可能なことになります。その場合、正常皮膚に付いても一皮剥ける程度であまり深い傷が作ることがないため、“芯”である肉芽腫のみを選択的に壊死させることができるようです。
大きなものでは、ある程度小さくなってきても、“芯”がさらに深くにあるケースもあります。その場合にはまず、液体窒素+モノクロロ酢酸療法などを繰り返し徐々に縮小する場合もありますし、反応が悪いときには局所麻酔下での削り込み⇒凍結療法+モノクロロ酢酸療法なども行う場合があります(左上;モノクロロ酢酸療法)。
※その他の腐食療法として、エタノール・フェノールなども用いられることもあるとされます。以上は刺激がある物質のため必ず医師のもとでの使用のみとされてください。
ビタミンD3軟膏
乾癬や角化症に用いられる活性型ビタミンD3軟膏のうち、非Ca作用である過増殖抑制作用・アポトーシス誘導作用などが角化傾向の強い“治療”に用いられます。Egawaらは2004年液体窒素など他法が無効であった症例に対して、ビタミンD3軟膏をODT密封療法として用い良好な結果であったと報告しました(右上;オキサロール・スピール膏)。
ビタミンD3軟膏の問題点として、広範囲のODTを施行した場合、高Ca血症をおこし、口渇・倦怠感・脱力感などの症状を惹き起こす可能性があげられます。注意は必要ですが、通常小範囲の密封療法での危険性はそれほど高くないものと思われます。また、ビタミンD3外用の単純塗布では効果が不十分なため、角質を傷つける・サリチル酸外用などを併用するとより効果が高まります。
ベセルナ外用療法
イキモミドという成分で外陰部・肛門部の尖圭コンジロームに保険適応があります。原因となるウイルスの増殖を抑制する効果、免疫能を高めウイルスに感染した細胞を障害する作用をもっています。通常週3回ほど就寝前に患部に塗布して、翌朝洗い流すようにします。効果が現れると周囲に発赤が起こり(免疫反応が賦活化)、次第に縮小して脱落していきます。通常のものにも試験的に用いられることもあるが、保険適応はないのが問題点でしょう(右上;ベセルナ)。
ブレオマイシン注射
有棘細胞癌などの治療に用いる抗がん剤のブレオマイシンが、以前より治療の用いられてきた。DNAウイルスに対する直接作用、角化抑制作用などが効果を現す作用機序と考えられている。液体窒素などに反応の悪いモザイク型など大型のものに用いられることが多い(右上;ブレオマイシン写真)。
注意点は注射時に痛みを伴うこと、治療が奏功すると大きめの血豆を作り、しばらくすると黒色痂皮化して、2-3週間で脱落する。場合により痛みが残ることがあり指先などへの使用は注意を要する。最近では医療従事者への抗がん剤の慢性被爆を避ける方針が一般化している現状があり、治療として当院では現在行っておりません。
※現在、当院では液体窒素+削り込みなどと他の外用療法を組み合わせることで、ほとんどのものを完治できるようになってきたため、実際に使うことはなくなりました。また、本当に深い芯をピンポイントで治療することが困難なことも本法をしなくなった理由としてあげられます。現在、ブレオ注射は美容クリニックでインターフェロン療法と組み合わせ高額の自費治療として用いられる場合もあるようです。
ヨクイニン、漢方内服など
ヨクイニン内服(ハトムギエキス)は有効な治療法であり、ヨクイニン内服+液体窒素の組み合わせでの有効率は5割以上の方で改善傾向が高まったというデータもあります。
残念なのは、ヨクイニンを処方する先生は2割程度しかいないという統計もあることです。個人的経験になりますが、内服しない場合に比較してヨクイニンを用いると明らかに液体窒素の治療効果が高まる方は存在しますし、さらに、適応のある漢方内服も組み合わせると5割以上の方で液体窒素の治療効果が明らかにアップする印象です。
ヨクイニンは元々がハトムギ(右上写真)なので比較的安全な薬と考えられますが、稀に胃腸障害などを訴えるかたがいます。漢方内服の問題点は、やはり苦いので患者さんにより得手不得手があるようです。他院でなかなか治らなかった方などにご提案すると、治したい思いから比較的しっかり飲んでいただけるようです。まじめにきちんと飲んでいただける方ほど治りは良く、また治まってからも再発のフォロー期間中は予防的にも内服した方が良いでしょう。
いぼ地蔵参り
多くの方々を治療して、治る課程を見る機会が増えれば増えるほど、液体窒素治療・さまざまな腐食治療も最終的に病変部に炎症を起こさせて、直接壊死させる効果と同時に、患部が壊死に陥ることによって自らの免疫細胞が壊死部を異物と認識して“免疫反応が賦活化”することが治る条件ではないかと感じるようになりました。たくさん病変がある方でも治るときは、全部一度になおったりすることも“治癒課程”と考えられます。
人間のからだは、気持ちが強く思うと自分の免疫細胞もそれに従うように体を防御するようになります。なかなか治りにくい方に“いぼ地蔵参り”にいっていただくと、とたんに治ってしまうことも時々経験します。大田区には幸い数カ所にお地蔵さま(上写真)があり、くわしくは“当院の考えと大田区疣地蔵―”をご参照ください。
電気凝固法
難治性のものに対して、液体窒素やその他腐食療法で“病変の消退”が得られないときに用いられることがあります。通常、痛みを伴う処置のため局所麻酔下に高周波電気メスにて患部を焼いていきます。深い芯に対する切り札の一つとして有効な場合もあります。
欠点としては、①しばらく傷(一部潰瘍)の状態となってしまうため、通常の液体窒素治療などに比べてダウンタイムがあること、②電気で焼くことで“患部の組織”を確実に焼却できる可能性がある一方、正常組織も焼いてしまうこと、③治療目標である“ウイルスの芯”が焼却治療では明確に分からないことも多く、再発率が決して低くないことなどが挙げられるでしょう。特に③の深い芯を肉眼的に的確に判断し見極めて、完治するためには相当の経験がいると思われます。
※当院でも過去、難治性のものに数回おこなったことがありますが、ピンポイントで芯を探し出して確実に焼くのは困難と思われました。
外科的切除(手術療法)
なかなか治らない難治性のケースに対して、“本体”を丸ごと取ってしまえ・・という治療法です。基本は表皮基底部までの病変、もしくは深くてもピンポイントで真皮の奥に芯が食い込んでいる構造から考えると、残る傷跡のことも考えると過大侵襲のように思えます。当方も20年以上前、地方病院の出向時に上司の指示があり、手掌の難治性巨大なものを外科的に切除し植皮手術をしたことがあります。
欠点としては、多発性のケースでは本法を使うことができませんし、治すというよりも通常用いる方法でお手上げのため、“治療の本分”からすると、仕方なく行う“負けの治療”としか思えません。どうしても、治らない場合の最終手段と思われます。
※なお、現在当院では手術に対応しておりません。
ウイルス性疣贅治療の実際は?凍結療法の注意とは?
治療の基本
治療目標は、表皮基底層にある(ウイルス性)イボに感染した幹細胞を除去することですが、現在最も治療効果のある方法は、液体窒素(-196℃)による凍結療法です。急速に患部を凍結・解凍させ細胞内水分が結晶を作り、病変部を壊死に陥らせるとされます。局所で炎症を起こし免疫を賦活し効果を発揮するとも言われます。
凍結治療の実際
液体窒素治療には綿球法を用います。綿棒先端に病変の大きさに合わせ綿球を巻き、液体窒素を含ませ病巣に圧抵する方法です。治療が初めての方では初回は弱めに行いますが、次第に痛みに慣れてきます。
【治療で用いている綿棒】
凍結は2,3回繰り返しますが、液体窒素はある程度しっかり効かせていく必要があります。概ね1,2日間軽くピリピリと痛み、1週間で角質が少し黒変するか、薄く血まめを形成する位が良いようです。治療は1回/週位で行い、通常5~10回位かかります。足底や指先など角質の厚い部分では治療し難く、本法を使いこなすためにはかなりの経験が必要です。
液体窒素治療後のご注意
治療後当日はシャワー程度が良いでしょう。抗生剤軟膏を処方しますので、1回/日位お薬を塗ってガーゼで保護をします。カットバンは侵軟やかぶれがあり良くないです。1~2日経過して痛みが治まり乾けば入浴も差し支えありません。
3~4日で薄い血まめとなることもありますが、通常1週間以内に水分は吸収されます。これは本体の肉芽腫から出血したもので、水疱は潰さずに自然にカサブタにした方が治りが良いです。無理に取ると出血したり、拡大します。小さなものでは、ぽろりと取れる場合もあります。
大きな場合や指先では痛みや炎症が起きる場合もあるので、抗生剤や鎮痛剤を処方します。もし、痛みが続いたり大きな血まめが出来た場合は早めにご来院ください。ご旅行やご予定があるときは凍結療法を控えめにしますので、前もって担当医までお伝え下さい。
当院でのいぼ削り治療
凍結療法後は、治療効果を上げるため黒くなった角層を削る必要があります。通常、1,2回の治療では本体が残存しており、周囲の角質と壊死に陥った部分を出血させない範囲で過不足なく削ぎ取るのがポイントです。
芯が残っていれば、さらに治療を繰り返し徐々に小さくしていきます。完治する場合には、指紋がはっきりと見え平らとなるか、病変のあった部分が少しだけ陥凹することが多いようです。 ※保険の適応の問題から削るのは月1回程度とさせていただいております。
難治性いぼ治し方のパターン分類
《難治性の場合に対する治療》
ウイルス性のものは顔首などの他に膝回り、肘などの四肢にも良く見られますが、なんと云っても手足の角質の厚い部分の病変が難治化することが多い印象です。以下に部位別の特徴を分類していきたいと思います。
・手足の指先の疣贅;
角化傾向が強く大きくなると爪下に食い込んだように見えます(右写真;指先)。しかし、治療をしてみると基本的に“芯”部分は爪の下に入ることはなく、あくまで爪と皮膚との境界部分に留まっていることがほとんどです。
理由として手足で深くなるパターンでは例外なく、芯が汗腺の奥に落ち込んでしまっているパターンが全てだからです。つまり、爪下の爪床部分には汗腺がないため“ウイルス”が深く入りようがないのです。注意点として、大きなものでは“芯”が爪遠位端に沿って複数箇所あることもあり一カ所をしっかり治したからといって油断しないことです。
・手足の側爪郭部の疣贅;
いわゆる爪横のもので、これも経過の長いものでは非常に深くまで“芯”が食い込んでいるケースを経験します(右写真;指)。通常、爪横の皮膚の境に沿って何個かの芯がならんでいるケースがほとんどです。この部分は皮膚が折り返している部位のため角化傾向が強い部位であり、そのぶん液体窒素をややしっかり目に当てていかないと難治性となっており治療効果を得ることが出来ません。
・手背、足背の疣贅;
露出部であり表皮に傷が付きやすいためか、多発する方がよく見られます。注意点はウイルスが毛根部に入ってしまうと以外に難治性になることがある一方、どこで治ったか見極めていかないと、すでに治って傷跡(瘢痕)になっていても凍結治療が行われてしまうことです。
特に手背は皮膚が薄い場所で有り過剰に凍結療法を行いすぎると、傷跡やしこりとなってしまっている方もご来院されることがあり注意が必要です。
・手のひら、足底部の疣贅(深い場合)
手のひら、特に足底部は元々皮膚の角質層が50-60層以上あると云われ、角化傾向がつよい部分です。特に足底部にできたものは加重が加わり3,4ヶ月以上経過すると“芯”が皮膚深くにはいってしまい難治性となるケースがよく見られます(右上写真;足裏)。大きくなったものでも、芯が一つのケースもありますが、通常いくつかの“芯“が癒合して巨大な病変(モザイク型)となってしまうことが多いです。
治療効果を上げるには、液体窒素治療を行う前に、角質層をギリギリで削り込む作業(削り込み)が必要になります。出血する手前ぎりぎりで削ると本体の表面がみえるので、この部分に直接液体窒素を当てていった方が治療が効率的に進むイメージです。厚い角質層の上から凍結治療をおこなってもびくともしないことがほとんどになります。
やはり、1-2日はぴりぴりと痛み、数日で黒変するくらいの強さで液体窒素を本体に届くように当てていくことが必要で有り、そのためには、削り込み作業が重要となります(左上写真;足裏)。
難治性である場合、ある程度の回数、削り込みと液体窒素繰り返していくと一見平らになり、指紋のはっきりしない“白くてもやっと”した病変部残ることがあります(左写真)。その場合、さらに1-2層深い部分に芯があることが多く、①さらに強く液体窒素を行っていく、もしくは②ビタミンD3外用などを併用していく必要があります。
・多発する疣贅
病変の数は2,3個程度で収まる方と、両手・両足などに10数個~20個以上多発してしまう方がいます(右写真;足裏)。出来はじめの段階で知らずにいじってしまったり、もしくはウイルスに対する抵抗力が低いなどの要因が疑われます。多くの場合には元々あった大きめのもの(親いぼ)とその周りにあとから出来た比較的小さなもの(子供)から成り、特に親は経過が長く、大きかったり、深さが他の部分より深めだったりします。
液体窒素はある程度、しっかり行っていく必要がありますが、両手・両足ともに痛くては日常生活に支障を来します。その場合は、まず①より大きな片側だけ治療を行う、②左右に分けて毎週交互に治療を行うなどの方法が考えられます。
全ての部分をしっかり、焼こうとすると患者さんも施行する医療従事者も大変なため、おおよそ患部の8割方の大きめのもののみをしっかり治療を行っていくことで、残りの部分は結構自然に大きさが小さくなって行ったりします。全てしっかり焼くことにこだわる患者さんもいますが、“治るには免疫力だから主な部分をしっかり治療すれば回りも治ってしまいますよ”とお話しています。一方、メインの病変が治ってくると、それまで回りに目立たなかった部分に小さな子肬が出現することもあります。ウイルスは一見みえなくても回りに不顕性感染を起こしているといわれていますので(隠れ肬)、その場合は“これは回りに残った残党部隊が悲鳴を上げている状態”ですよとお話して、一つずつ“プチプチ液体窒素で潰していけば”以外とあっさり治ったりします。
多発するケースも親部分を中心にしっかり集中的に治療をおこなうと回りも一気になおってしまう傾向にあるのですが、そこに至るまでの深めの親を治す技術が必要になります。
以上、文章で書くと簡単に聞こえますが、①削り込みをどこまでギリギリまで行えるか、②液体窒素を如何にしっかり効かせられるか、③その他の外用剤をどのように効かせていくか?、④深めの芯に対して如何に深い部分まで攻めれるか?など、さまざまなコツがあるのは云うまでもありません。
◆疣贅担当医からのコメント◆ 当方は大学病院時代には、皮膚外科(形成外科)を専門としており、表皮培養移植などの基礎研究・救命救急出向時には皮膚の凍結保存移植(スキンバンク)に係わっていました。表皮は非常に抗原性の強い部分であり、凍結保存して抗原性が落ちても他人には生着しませんが、真皮は長期凍結保存すると抗原性が落ちて重症熱傷患者さんには生着するようになります。抗原性の強い表皮は自分の皮膚細胞を自家培養したものでないと生着しないのです。 すなわち、肬も基本的には表皮内に留まっているうちは液体窒素治療により“いぼ”を異物として排除する免疫反応が起きやすいものと考えられます。その一方で真皮の奥~皮下に入ると表皮内よりも異物反応(免疫反応)が起きにくいことも、深くなったものが中々治らない理由の一つかもしれませんね。 |
治療に掛かる期間は?
治療していて一番良くある質問が、“あと何回くらいで治りますか?”というものになります。通常、出来てから3,4ヶ月以内のものは5,6回程度で治ることが多いですよ、というのが一般的な答えになりますが、難治化すると10数回~20回以上、期間にすると少なくとも3,4ヶ月~場合によっては1年近く掛かってしまうこともあります。もちろん、難治のものでは一端治ってからも、1~1ヶ月半程度は経過をみないと完全に治癒したとは言い切れませんので、フォローアップ期間も必要と思われます。
お子さんの小さめのものでは5,6回程度で治ることも多いですが、痛みが我慢できなく余りしっかり凍結療法を行えない場合は、何種類かの外用療法も組み合わせ、“だましだまし“治療を行っていくこととなります。その一方、他院でなかなか治らないといって転医された方が当院でしっかり凍結をおこなうと3,4回でかなり改善してしまうこともあり、“まずは液体窒素のあて具合”が如何に大切であるかと思わせる症例もあります。
治療に対する反応は、①出来てからどのくらい経過したものであるか?(通常3,4ヶ月以上経過したものでは徐々に難治化する)、②液体窒素の痛みにどのくらいがんばって貰えるか?(痛みの感じ方には個人差+)、③免疫反応の個人差(治りにくい方ほど免疫が付きにくい印象)などの要因が、複合的に関連して決まるものであり、一概に言えませんが経過の長いほど治療期間が掛かりますとしか、ご説明のしようがありません(左上写真;指難治例)。
一番困るご要望が、“時間が無いから一度で治して欲しい”というものですが、深いものほど難治性で有り、さまざまな方法を駆使して治療にあたるため時間が掛かります(右上写真;難治例の完治経過)。まずは①ある程度全体の大きさを小さくする段階から始まり、②芯がある程度限定されてくる段階、③芯がはっきりしていて来ても、なかなか反応が悪いときは、“芯”は真皮の奥=皮下脂肪の浅層くらいまで行くこともあり、“皮膚にちょっと穴が開く”くらいまでしっかり治療を行なう必要が生じますので、治療回数が掛かることや痛みを伴うことなどをご説明しながら、患者さんにも頑張ってある程度通院していただく必要もあります。
※治療担当医の医師のつぶやき・・・ 丁度、本疾患の治療は皮膚外科での難治性瘻孔の治療に似ています。少し、切開すると排膿して膿が出切って治る場合もありますが、深い場合にはさらに奥への切開・治療を進めないと中々治りません。大きく見えても、数回の治療で治ってしまうこともありますが、治療を始めて徐々に小さくなってきたら奥の方の芯が残存し、更に深い部位へ治療を加える必要が生じることがあります。 |
治療に際しての痛みについて
液体窒素治療の問題点は、一部の外用療法をのぞいて、“痛みを伴うこと”です。治療の基本は保険適応のある液体窒素療法であり、現在の様々な治療法や保険制度情勢などを鑑みると、当面のあいだ他に画期的な治療法がでてくることはなさそうです。これまで述べてきたように5,6回程度しっかり液体窒素を行うと治ってしまう方もいる一方、深い目のものでは真皮深層より更に奥まで治療を行っていく必要もある訳ですから,当然に痛みを伴うことになります。
ある程度の痛みはがんばってもらう必要もありますが、他医で様々な治療を行った結果、指先の場合などで痛みに非常に敏感になっている方もいますので注意が必要です。大概の方はがんばってくれるのですが、1-2割の方で明らかに痛みに敏感で弱い方がいます。その場合は局所麻酔のテープ(ペンレス)を使用したり、局所麻酔注射をした上でしっかり液体窒素を行うとあっさり2,3回で治ってしまうこともあります。
治療した後は痛みが続くことがあり、その場合は抗生剤・鎮痛薬内服を前もって処方させていただくことがあります。消炎鎮痛剤内服は治療に対して有効であるという意見もありますから、痛みがあるときは我慢せずに鎮痛薬を使った方がよいとも云えます。液体窒素やその他の薬剤で、患部に炎症を起こさせるわけですから、まったく痛みを伴わない治療はありません。痛みに対する許容範囲が狭い方ほど、治療法が限定されてしまい治療回数や期間が掛かってしまいます。
疣贅治療のよくある質問
◆治るときはどうなるの?
表皮基底細胞レベルに芯があるというのが通説なので、原則なるべく傷を残さないように治療するのが理想です。確かに、小さなものでは黒色化した痂皮が脱落すると、“ほぼ真っ平らな皮膚”がきれいに出来て、本体である血管や出血の跡がなければ、治っていると判断されます(右上;完治写真)。
一方、すこし大きくなったものでは、芯が真皮の奥に入ってしまうため治る場合は、芯の部分が少し凹んできれいになることが8割以上です。治療過程としては、液体窒素と削り込みを行ってボリュームを小さくする段階から、大きさが限定され“芯”への治療を行う時期を過ぎ、小さくなってくると芯は黒色の点状病変部としてはっきりしてきます。ポイントを絞って液体窒素を行って治るときには、“中心部が少し陥凹”です。
ちょっと大きめの難治性の場合では、少し皮膚に穴が開く位まで治療しますので、直径2,3mm程度の皮膚陥凹~大きなものを治すと直径5,6mm程度の傷跡(瘢痕)として治癒することがあります。足底などの大きめのケーでは、治ったあとも胼胝状に堅くなってしまうことがありますので、1~2ヶ月間経過をみせていただき角質層をやさしく削って再発有無のチェックを行っていきます。
◆治癒時の免疫反応ってどうなるのですか?
・・・治るときはいつも一緒!・・・・
液体窒素は効果がないという意見もありますが、逆に免疫反応を誘導し一番効果のある方法が液体窒素療法ではないかと当院では考えております。深い難治性のものほど、皮膚深層~皮下脂肪浅層まで攻めていかないと治らないことが多いですし、治療後は小範囲ですが一部瘢痕治癒することもあります。そうすると、“いぼ”というのは皮膚~皮下深層の全身の解剖に精通し、かつ傷口や傷跡(瘢痕)のアフターケアのできる皮膚外科医が担当すべき分野なのではとも、思われます。
液体窒素をしっかりおこなうと反応の良い方が少なからず存在すること、深めのものもいぼの芯部分を想定ししっかり液体窒素を当てていくことで反応が期待できること、親をしっかり治していくと周りの子も治ってしまうことなど、あくまで私見ですが治るには免疫反応の賦活が深く係わっていることは間違いありません(右上写真;液体窒素経過)。
確かに小さなものでは個別に治っていくこともありますが、親疣贅をやっつけると周りの細かいのも同時に治る現象、多発するケースでもある程度治療が進むと一気に治ってしまうこと、一部の患者さんですが“疣地蔵参り”をしたあとに急速に治ったりもします。治療には深いものをしっかり治療を行いつつ、全体が治るようにどのような方法を組み合わせて、どの範囲の治療を行っていくかという視点・プランニングも大切かと思われます。
◆治療の経過・合併症について
液体窒素療法を行ったあとは、小さな凍傷の状態なので当日はシャワー程度として2,3日は抗生剤軟膏を塗布してガーゼ保護をお願いしています。深いほどしっかり凍結を行う必要がありますので、特に当日~翌日に運動やお出かけの予定がある場合は自己申告をするか、ご予定のないときに治療にご来院ください。治療後はしばらく痛みや炎症が続く場合があり日常的にスポーツなどを行っている場合はご予定を担当医までお申し出ください。
特に深いいぼほど、局所に腐食治療や注射治療および局所麻酔などを行うことがあり、しばらく患部を安静にする必要も生じます。稀に、大きな血疱ができることもありますが、本来血管の塊であり液体窒素がうまく効くと血管腫の一部が壊死となり内出血が液体窒素をおこなった範囲より広めにひろがる場合もあります。
大きな血疱をつくったあとに、まわりにウイルスがばらまかれ“いわゆるドーナツ疣贅“作ることがあるとされておりますが、当院ではほとんどの患者さんにヨクイニンを飲んでもらっているためか、ほどんどそのような経験がありません(右上;血疱写真)。
逆に大きな水疱形成は想定範囲内の事象で有り、“良く治るときに起きますよ“とご説明しております。実際、大きな水疱ができたあとは抗生剤軟膏などを塗布して保護しておくと1週間程度で周りが上皮化して”本体”が丸見えになるので治療のチャンスですよ!ともお話しております。
腐食療法を行った際には4,5日間痛みが続く場合があり、予定を確認の上施行するようにしております。その他、外用剤の塗布では角質層の剥離が過剰におこったり、内服薬では胃腸障害などが主な合併症となります。
深い難治性のものでは、小範囲ですが完全に皮膚に穴があく(皮膚潰瘍)の状態となりますので、傷口に対する外用療法を行っていく必要が生じます。
しばしば“肬”はもともと胼胝や魚の目があった部位に合併することもありますので、傷を治していくために中敷きなどによる除圧ケア、靴の履き方の確認などを行わせていただく場合があります。加重部に出来た場合には傷が閉じるまで1ヶ月以上掛かる場合もあります。また、小さな傷(瘢痕)が残るため、治ったあとも定期的に角質をけずって再発をチェックしたり、傷跡が柔らかくなって落ち着くまでアフターケア(3-4ヶ月)をさせていただく場合もあります。
◆放っておくとどうなりますか?
通常、ウイルスの感染症であり、元々免疫不全など特殊な病気を持った方以外では悪性化することはないと考えられております。そのため、放っておいても命に関わることはないと考えられます。一方、出来てから3,4ヶ月以上経つと徐々に治療に対する反応が悪くなる場合も多く、早めに治療した方が治療に対する反応も良く、治療期間も短い傾向です。
免疫も関係する病気ですので、軟属腫と同様自然治癒するケースもありえます。はっきりした統計はありませんが、おおよそ1割弱の方で自然治癒が起きているのではという印象です。
一方、半数以上の方で放置すると徐々に大きくなったり、多発して治療が行いにくくなります(右上写真;足裏)。加重部では大きくなると当たって歩くときに痛みがでる、見かけが悪い、他人に移す可能性があるなどの問題が考えられます。事情があり治療を継続出来ない場合は、そーっとしておく、ヨクイニン内服だけ行っておくなども選択枝の一つと考えます。
一般にお子さんから大人まで多くの年齢層で見られる疾患ですが、70代以降のご高齢の方ではなぜかあまり、見かける事がありません。当院は皮膚科がメインですが、水虫・魚の目・巻き爪など足疾患の方が多く来院されておりますが、ご高齢者で偶然みつかることはほとんどなく、仮説ですが“長い目でみると”軟属腫と同様に自然治癒傾向があるのかもしれません。逆に40台位の方までは水虫などでお掛かりの際に偶発的に見つかるということは良く経験されます。
◆感染予防法
肬ウイルスは自然界に数多く存在していると考えられており、かつ“免疫力”には個人差があり、掛かりやすい方が一定数いるものと考えられます。足や指先などに出来た表皮基底層にいたる傷口から感染すると考えられており、例えば手を頻繁に使う技術者の方で一度治っても数ヶ月おきに新たに再発するというケースもあります。また、お子さんなどは、足に出来た野球のスパイクの傷跡からなるケースもあり、手足に傷を付けないように心がけることも再発予防に大切と思われます。
堅い床やコンクリート、岩場などを裸足で歩かないこと、なるべく綿のやわらかい靴下をはき足先を保護すること、指先を傷つけないことなどに注意しましょう。さらに、顔では髭剃りに伴って、アトピーの方では掻爬に伴い肘窩部分に多発することもあります。もちろん、今ある部分にはウイルスが多数あるので直接自己判断でさわったり、いじると他の部位にうつる可能性が高まります。
当院の治療でのこだわり
・液体窒素タンクを2台設置しており、さらに液体窒素の当て方などを工夫しております。
・大きなものでは、削り込み治療を行った上で液体窒素治療を行います。
・角化傾向の強い場合では、ビタミンD・サリチル酸製剤を使用、ヨクイニン内服も用います。
・難治性の方では、モノクロロ酢酸による腐食治療・局麻下の焼却治療なども併用。
・多発するものでは、一部を集中的に治療することで全体が治る場合があります。
大田区の肬取り地蔵を目指して・・・
《感染の模式図》
池上 日蓮宗照栄院妙見堂のお地蔵さま
―コラム・・肬って何で治らないの?・・― 足の裏、指先など角化の強い部位に生じたものは表皮基底部の幹細胞に感染を起こしますが、しばらくするとより深い毛根部や汗腺の深い部分に移動すると云われています。従来考えられていた表皮基底部より、さらに深い部分に芯があるケースでは思ったより液体窒素をしっかり行わないとまったく治療効果がありません。 さらに、液体窒素だけで効果がない場合は上記の様々な方法を組み合わせて芯の部分を攻めていく必要があります。治療上痛みがある場合もありますし、どうしても治療回数がかかってしまうケースもありますが、がんばって通っていただける方には何とか治すお手伝いをできるよう当院でもがんばっております。 ⇒イボの治療はがんばる効果と免疫賦活がキーワードです! |
保険適応・治療費についてのお願い
ちゃんと治療していくと、角質の表面のみの病変でなく、表皮細胞の基底細胞~毛穴・汗腺の奥まで入り混んでいる場合も少なくありません。重傷度・数に応じて、・冷凍凝固法、・鶏眼削り、・皮膚科軟膏処置、・皮膚切開術・皮膚腫瘍摘出術などを組み合わせて算定させて頂く場合があります。
【治療費の目安】
・凍結療法+削りのみ 1500~2000円程度
・深い病変に対する削り込み、または腐食療法 2000~2500円程度
・局所麻酔下の焼却治療、または芯切除治療 3000~5000円程度
薬液を使って壊死させた場合には、本体の肉芽腫が壊死に陥り小さな膿瘍を形成する場合もありますし、経過の長い非常に深いものを完治させるためには皮膚に完全に孔があくまで、芯を切除しないと再発してしまう場合もあります。なぜなら毛包や汗腺の根元は皮膚の中ではなく、皮膚下の皮下脂肪層にあるからです。そこまで勇気と知識と経験をもって治療していくことが出来る医師がイボを完治できるのではと考えております。
※一部の美容外科にて、自費診療として治療が行われているようです。当院は一般皮膚科がメインの医院ですので、なるべく保険診療をメインとした治療を心がけております。
顔・首にできるいぼ・シミとは?どのようなものがあるのでしょうか?
当院ではウイルス性いぼ以外にも、顔、首にイボ状のものができて気になり、ご相談に来院される患者さんも多くいらっしゃいます。
白いつぶつぶの原因としては、稗瘤腫、汗管腫、老人性面皰などが多く、茶色く盛り上がったものでは脂漏性角化症(老人性イボ)という加齢によるシミ・いぼの事が多いですが、ウイルス性イボも時々見かけます。
平らなのものの原因としては、老人性色素斑(いわゆるシミ)や紫外線による炎症性色素沈着などが挙げられます。首にできる小さな出っ張りは軟繊維腫か脂漏性角化症、赤いぷつぷつはルビー血管腫(老人性)のことがほとんどです。
当院では、主に健康保険を用いた範囲内での治療に対応しております。液体窒素を使った冷凍凝固療法、高周波電気メスを用いた電気焼却療法、メスなどを使った切開、切除などを必要に応じて使い分けます。また、シミ治療後の炎症性色素沈着予防のためにビタミンC内服を併用する場合があります。
注意を要するシミは、基底細胞癌、有棘細胞癌、日光角化症などの悪性腫瘍との鑑別です。まず、治療を始める前に拡大鏡(ダーマスコピ-など)でシミや腫瘤の状態を観察させて頂く場合があります。必要によりシミの生検を行い、悪性の有無を確認することがあります。
顔、首に出来る代表的ないぼ、シミなど
・脂漏性角化症(老人性色素斑、老人性イボ)
おもに顔面に生じる表面がざらざらとしたボタン状に突出したシミ状の腫瘤です。色調は正常皮膚色~褐色・黒色で皮膚の老化現象の一種と考えられています。悪性が疑われる場合は生検することもあります。治療は液体窒素、電気凝固療法などを行います。
※老人性色素斑は、脂漏性角化症の扁平タイプのシミとも考えられています。
・軟線維腫
主に首、腋窩に生じる小さな皮膚の突出です。色調は正常皮膚色~やや褐色で、有茎性となることもあります。治療は、良く切れる剪刀での切除、または液体窒素療法などです。大きなものでは、局所麻酔下での切除縫合が必要になる場合もあります。
※液体窒素治療にてほとんどの方はきれいに取ることが可能ですので、ご相談ください。
・稗瘤腫(ひりゅうしゅ、はいりゅうしゅ)
眼瞼部の皮膚にできることの多い白く粟粒状の丘疹(過誤腫)です。やけどや外傷後に生じることもあり、皮膚がこすれて出来ると考えられます。治療は、注射針のさきなどで小さく切開し、内容物を圧出します。
※自分で押しだそうとしても、圧出することは難しいのでご注意ください。
・汗管腫(かんかんしゅ)
女性の下眼瞼部に生じることがおおい正常皮膚色~やや褐色の腫瘤です。真皮内汗管の増殖で、自然消退は少ないとされます。治療は、電気凝固などで、表層の凸部を切除して外観の改善を図ります。
いぼ・シミの治療と治療後の注意点について
診断には、まず、どのようなタイプのシミ、出来物、イボか判断するために拡大鏡(ダーマスコピ-)を使わせて頂く場合があります。液体窒素療法や電気焼却治療には多少ピリピリとした痛みがありますが、特に電気焼却治療で痛みを強く感じる場合には、局所麻酔テープやクリームなどを使わせて頂きます。
治療を行ったあとの痛みは通常数時間~1日前後で治まります。傷跡は数日間で落ち着き、液体窒素や電気凝固を行った場合には茶~黒色の”かさぶた”が出来ます。傷が閉じる、もしくは上皮化するのは1~2週間程度かかります。通常、傷跡は余り目立ちませんが、治ったばかりの皮膚はピンク色でまだ弱いので紫外線防御をしっかり行わないと一過性の炎症性色素沈着が起こることもあるので注意しましょう。
※これらの治療で正確には薄い傷跡を残すのですが、通常は余り目立たないようです。まれに、薄い色素沈着や色素脱失を生じる場合もあります。
※特に、夏季(4月後半~9月中)は紫外線が強い時期であり炎症後色素沈着が出やすくなりますので、顔面・頸部のシミ電気焼却治療はお受けしておりません。
《他院でうまく治らなかったウイルス性疣贅・長い間治療せず難治性となった”いぼ”もぜひご相談ください。》