当院のこだわり(インタビュー記事より)
目次
1,患者さんの目を見ながら真摯に向き合う診療を大切に
患者さんのご不安は、言葉だけでなく表情、仕草からも読み取るように努め、患者さんの気持ちに寄り添った診療を心掛けます。医師としての診療・診断が正確であることはもちろん大事ですが、個々の患者さんの希望を汲み取って応じていくことも、大切にしていかなければいけないと考え、日々診療を行っています。
本記事は、2019年末にエンパワーヘルスケアさんのインタビュー記事を元に改編・追記したものとなります。
2,診察の際に気を付けていることは?
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アトピー・湿疹の患者さんでは、原因のはっきりしないことも多々あります。出来る範囲で、皮膚をしっかり診察するようにしており、男性の方では上半身全て脱いでいただいたり、女性の方でも出来る範囲で服をめくって広い範囲の皮膚の状態を把握するようしているのは、「先代院長である父からの教え」となります。
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最近感じているのは、患者さんとのコミュニケーションをとることの難しさです。たとえ診断がついてしまっても、すぐに診察を終えず、一方的な説明になってしまわないよう心がけ、患者さんのお話をお伺いするようにと、気を付けています。
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患者さんは、きっと色々なご不安を抱えて来院されていることと思います。患者さんの表情をみて、もう少し何か言いたそうだったり、聞きたいことがありそうだったりしたら、こちらから声をかけて「大丈夫ですか?」「ほかにも聞きたいことはありませんか?」などとお伺いするようにしています。
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最後に患者さんが笑顔になったり、お礼を言ってくださったり、問題ないかどうかを表情や言葉、仕草などから確認して診察を終えるようにしています。それらを丹念に一人ずつ行うことが、街のクリニックの診療でとても大事なことなのではないかと思っています。
医師からの説明で足りない部分や、具体的なお薬の使い方はスタッフよりご説明致します。当方の至らない点を、いつもフォローしていただける当院の診察室・受付スタッフに感謝!!しています。
3,電子カルテではなく紙カルテにこだわる理由は?
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現在は、電子カルテの時代と云われていますが、以前の皮膚の状態を短時間で把握できる、過去の閲覧性が高い、シェーマがすぐに書けるなど、紙カルテの方が電子カルテより優れている点が多くあり、小さな町のクリニックならではメリットであると感じます。当院は、最新の1年間+αが紙カルテ運用+それ以前のカルテは全てPDFで運用し、処方・処置の入力は電子カルテをつかう「ハイブリッド方式」となっております。
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また、診療後に紙カルテを見返して、「次に来院されたときはこうしよう」などと、あとから情報を書き込むこともあります。カルテの見直しは、次回診察の質の向上+効率化にもつながり、患者さま全員の分のカルテを毎日見直しています。
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紙カルテで院内にあるのは1年少し分のみとなっております。それより以前の過去カルテはPDFに全て取り込んで(約10年分)、PCやタブレット端末から見られるようにしていますので、1年以上来院がなかった患者さまも、「過去どうして来院されたのか」をタブレット等でみることで、すぐに把握できるようにしています。
紙カルテ運用は事務スタッフに負担になっていると思いますが、ご協力頂き感謝しております。なお、PDF化した紙カルテは年度毎に倉庫に最低5年間保存してあります。
4,皮膚疾患の診療に漢方を取り入れている理由は?
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皮膚科では、「ニキビには抗菌剤外用+内服を用いる」、「アトピー・湿疹にはステロイド外用剤をメインに用いる」など西洋的な治療法はある程度決まってしまっており、それを如何にうまく使いこなしていくかに治療の正否が掛かってきます。一方、来院される方はそれでも改善しなくて困っている方も多く、また出来れば保険内で治療を行いたいと思っていました。
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当院では漢方をプラスして体質改善をしながらのニキビ治療などをおすすめしています。ニキビのほかに、アトピー性皮膚炎、じんましん、老人性乾皮症、いぼなども漢方治療の適用になります。皮膚科で扱う漢方薬の種類は非常に多く、それぞれの患者さまの体質、東洋医学でいう「証」を問診・望診(顔色・手足の血色などを見ること)より判断して体質に合わせて処方いたします。もちろん、漢方だけで治療するのではなく、西洋薬との併用、食生活やスキンケアの改善なども併せてお勧めさせていただきます。
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西洋薬を飲んでいてもなかなかよくならない方、漢方に興味がある方は、ぜひ一度ご来院いただければと思います。一人ひとりのお悩みをお伺いして、治療を進めさせていただきます。
皮膚科疾患では急性期疾患が少なく、「腹診・脈診・舌診」は行っておりません。
5,医師を志したきっかけ、専門科を選んだ理由は?
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祖父から医師の家系で、父親と叔父も医師をしていました。親戚にも医療関係者が多く、常日頃から医師になるように云われていました。中学から父の母校でもある私立一貫校に入り、「医師でなくなると我々は将来何もアドバイスできなくなる」と云われて育ちました。中高一貫校から大学の推薦枠には入れず、外部受験を行って今の母校である日本医科大学に入れて頂きました。
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大学卒業後は、皮膚科学教室形成外科斑に入局しました。形成外科というのは、皮膚の表面の癌などをどのように手術・切除するか、どのようなデザインで皮膚を治していくなどを、様々な手法・技術や創傷治癒の理論を駆使して、より正常に近く、きれいに修復するという診療科です。
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小さな頃より元々模型工作など細かいことが好きだったので、自分の好きなことと一致するかなと思いこの科目を選びました。体表面の多くの部分の手術を行った経験や、顕微鏡下の細かな手術や創傷治癒の基礎実験などが、現在の皮膚科診療に多くの分野で結びついていると感じております。
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最後の5,6年は元主任教授から、「俺がここにいる間はお前はずっと大学に在籍してほしい」とのお言葉もあり、日本医科大学の形成外科に26年間ものあいだ所属し、当医院の院長となった今も日本医科大学形成外科兼任講師をさせていただいております。さまざまな恩師や上司に恵まれて、いまの自分があると思っています。
6,休日などの過ごし方は?
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基本的に今の仕事が好きなので、平日は時間を守って健康に留意し、自分やスタッフにも厳しくし過ぎないようにしながらも、協調性を考えてというのを基本に診療を行っております。
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休日は、自分を支えてくれている家族に対して、“家族サービス”を心してするようにしています。やはりお互い尊敬し支えあってというのが人間の基本だと思いますし、家族全体をハッピーにするというのは、人としての使命と思っております。だからこそ仕事もがんばれるのだと思います。